米IT企業の個人情報移転方法、EU法務官が否定的見解
ロンドン(CNNMoney) 欧州司法裁判所の法務官は23日、フェイスブックなどの米インターネット企業がユーザーの個人データを米当局に簡単に引き渡せる状況はこれ以上認められないとの見解を示した。
2000年に結ばれたEUと米国の合意により、米企業はユーザーデータをまとめて米国内のサーバーに移転することが認められている。
だが欧州司法裁の法務官は、米当局が大規模な情報収集活動を行っているとの疑惑がある以上、この合意は有効性を失ったと判断。EU加盟国は米企業による米国へのデータ移転を禁止する権利をもつべきだとした。
また、米当局が企業のもつデータに容易にアクセスできることは「プライベートな生活を尊重する権利や個人データを守る権利への侵害にあたる」と指摘。米情報機関が「大規模で無差別な監視」を行っているとの考えを示した。
フェイスブックに対してはオーストリアの法学生が、ユーザーの個人データを米国内に移し、米当局によるアクセスを許しているとして裁判を起こしている。証拠はウィキリークスが公開した文書だ。
この学生は声明で「今回分かったことが法廷で認められれば、米当局が欧州企業や米企業の欧州子会社の保有するデータに大規模監視を行うための法的選択肢を制限する大きな1歩となるだろう」としている。
最終的な判決は年内に出ると見られる。欧州司法裁では法務官の意見に沿った判決が出ることが多い。
この問題は、欧州でビジネスを展開する米大手企業にとって頭痛の種になる可能性がある。現行ルールの下でデータを米国内に移転している企業は約4000社に上る。