中国のサイバー攻撃<2> アジアでの情報収集に軸足
南シナ海での領有権争いをめぐり、中国は当該地域に対する歴史的権利を有していないとする判断を国際仲裁裁判所が示した後、ベトナムの主要な2つ空港で運航情報を表示するスクリーンがハッキングされた。フィリピンとベトナムが南シナ海で領有権を主張していることに関し、批判的な内容のメッセージを表示させるためだった。
この件に関して、カーネギー清華グローバル政策センターの趙通氏は中国の国家機関による攻撃ではないとの見方を示す。「かつての想定では、中国の政治体制は中央集権化が著しく、中央政府がすべてをコントロールしているに違いないとみられていた。だが、こうした想定は不正確だ」と述べる。
趙氏は見立ては正しそうだ。どれほど強力であったとしても、中国は一枚岩ではない。その体制は巨大で、軍民を問わずさまざまな組織が動いている。
ただ、サイバー攻撃に関与する多くの組織が結集して、情報化時代における中国の安全保障上の利益や立場を推進するという共通の目的のために力を合わせることはあり得そうだ。
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