複数の英病院にランサムウエア攻撃、被害は世界に
ロンドン(CNN) 英国のメイ首相は13日までに、同国の多数の病院を標的とするサイバー攻撃があり、他国でも被害が広がっていると公表した。スペインやロシアの当局も被害を報告し、攻撃の範囲は数十カ国に及んだ可能性がある。
メイ氏は英国内の遊説先で、「多くの国民保健サービス(NHS)関連機関から、ランサムウエアによる攻撃を受けたとの報告があった」と言及。「NHSに標的を絞ったものではない。国際的な攻撃だ。多くの国や機関が影響を受けている」と述べた。
医療関係者からは、所属組織のシステムに入れなくなり、アクセスの回復と引き換えに金銭の支払いを要求するメッセージが出現したとの報告が寄せられた。
サイバーセキュリティー企業のアバストは、世界99カ国で7万5000件以上の攻撃があったと報告。対象の大半はロシア、ウクライナ、台湾だとしている。
問題が始まったとみられるのは12日朝。英国内の複数の病院が大規模なサイバー攻撃を受け、手術のキャンセルや救急車の行先変更を余儀なくされた。
NHS関連では英イングランドの少なくとも16機関に加え、スコットランドの機関も被害を報告。NHSデジタル部門の当局者は声明で、「患者情報にアクセスされたとの証拠は現時点で入手していない」と強調した。
またスペイン政府は、このランサムウエアによる攻撃で通信大手テレフォニカなどの同国企業が影響を受けたと発表。テレフォニカでは同社のコンピューターの85%に影響が及んでいるという。ロシア内務省の報道官も、同省のコンピューターに対しランサムウエアによる攻撃があったと確認したが、その範囲は全体の1%未満としている。