太平洋の離島にも高速通信網を、シンガポールの新興企業が衛星打ち上げ
ニューヨーク(CNN Business) アジア太平洋地域の離島などに高速・大容量のブロードバンド・インターネット環境を提供しようと、シンガポールの新興企業カシフィックが初の静止衛星を打ち上げた。デジタル化の波に乗り遅れた遠隔地の住民も、手頃な料金でブロードバンドサービスを利用できるようになる。
同社の高性能通信衛星「カシフィック1」は16日、米宇宙ベンチャー、スペースXのロケット「ファルコン9」で米フロリダ州ケープカナベラルから打ち上げられた。
コスト節減のため、1つの機体にカシフィック1と日本の衛星通信大手、スカパーJSATの衛星が同時に搭載されている。衛星は高度約3万6000キロの静止軌道に入り、アジア太平洋地域上空に配置される。
地上では学校、病院、公民館などにアンテナが設けられ、近隣住民らは1ギガ当たり1.5~2ドル(約160~220円)のチケットを購入して高速ネット回線に接続することができる。
同社はすでに24カ国との間で、ネット接続サービスを提供する契約を結んでいる。
太平洋の島々などはこれまで、人口が少ないために海底ケーブルなどのインフラが整備されず、ネット通信網から疎外されてきた。クリスチャン・パトロー最高経営者(CEO)は6年前、この需要に着目して同社を設立した
大手のスペースXや米アマゾンは多数の小型衛星で全世界をカバーする通信網の構築を目指しているが、遠隔地の住民も手の届く料金でブロードバンドサービスを提供できるかどうかは不透明だ。
パトロー氏によると、カシフィック1の運用が始まれば、新たに最大100万人の住民が安定的にネット接続できるようになるという。