米地域ニュースサイト、AI作成記事に偽の署名 専門家から警鐘

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フッドラインの記事のスクリーンショットには、署名欄に「AI」のラベルが付いた記事が見える/From Hoodline

フッドラインの記事のスクリーンショットには、署名欄に「AI」のラベルが付いた記事が見える/From Hoodline

偽の顔写真と経歴は現在、サイトから削除され、AIが作成を支援した記事の署名欄の横には小さな「AI」バッジが付けられているが、人間の名前はそのままになっている。アーカイブされたスクリーンショットもインターネット上の大半のサイトから削除されている。ウェイバックマシンのディレクターはCNNに対し、該当するアーカイブページは先月、「サイトの権利所有者の要請により」削除されたと語った。

チェン氏は、同社がアーカイブサイトのスクリーンショットをインターネット上から削除するよう要請したことを認め、「一部のウェブサイトは数カ月または数年前の古いスクリーンショットを取得しており、現在の我々の慣行を誤解させる」と弁明した。

「透明性に向けた空虚なそぶり」

専門家は、フッドラインのやり方は報道でAIを使用することの潜在的な落とし穴や危険を示す例であり、ニュースに対する市民の信頼を低下させる恐れがあると警告する。

信頼できる情報の見分け方について市民を啓蒙(けいもう)することを目指しているニュースリテラシープロジェクトのピーター・アダムズ上級副社長は、フッドラインがAIを使用し開示する方法は、「本物のジャーナリストがいる標準的な地域報道機関」の外観と雰囲気を「模倣」することで意図的に読者をだましていると懸念を示す。

同氏はさらに、サイト上に表示される小さな「AI」バッジは「実際に透明性を発揮しているのではなく、透明性と見せかけた空虚なそぶり」だと断じた。

チェン氏は、フッドラインが採用しているAIシステムについて明かそうとはせず、独自のカスタムソフトウェアと最先端のAI企業との提携により、公開可能な、事実に基づく記事を作成しているとだけ述べた。同氏によると、各記事は公開前に編集者が確認している。

ギャゼティアは以前、フッドラインの従業員のうち少なくとも2人がリンクトインに、取材対象としている米国の都市から遠く離れたフィリピンに居住していると述べていると報じた。チェン氏は、スタッフや居住地に関するCNNの質問には回答しなかった。

2200社以上の米国の出版社を代表するニュースメディア連合は、ニュースコンテンツを無断で収集しているAI開発企業に対して法的措置を取る報道機関を支持している。同団体のダニエル・コフィーCEOはCNNに対し、フッドラインのコンテンツは「著作権法に違反している可能性が高い」とし、「良質のニュースが消えていくにつれ、そもそも質の高いニュースがなければこの種のコンテンツは他の手法とともにやがて維持できなくなるだろう」と語った。

チェン氏はCNNに対し、著作権法を非常に真剣に受け止めており、「厳重なルールを導入し、工程を大幅に改良した」と語る。同サイトの読者は「AIが作成を支援したニュースの偏りのない性質を評価している」と断言し、フッドラインの訪問者数は買収後、20倍に急増したと主張した(同氏は具体的な数字については言及しなかった)。

報道機関にAIの居場所がないというわけではない。AIは記者の調査やデータ加工を支援し、厳しい予算繰りに苦しむ業界のコストを削減することができる。ニューズ・コーポレーションなどの一部の報道機関は、大規模言語モデルの知識ベースを強化するために、オープンAIなどのAI開発企業と提携を進めている。

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