コンコルドの「折れ曲がる機首」、もう一度動かす 英で取り組み
(CNN) 超音速機コンコルドが最後に空を飛んでから15年。その特徴的な「折れ曲がる機首」を再び動かす計画が英国で進んでいる。
使用する機体は、コンコルドのモデルで最後に製造され飛行した「アルファ・フォックストロット」。2003年の最終フライトを終えた後、英ブリストルの航空博物館に格納されている。
その「折れ曲がる機首」は、操縦士が離着陸時により広い視野を確保できるように開発されたものだ。退役時に油圧系の油が抜かれたことに伴い、機首も作動を停止した。
しかし今、保存担当者や有志が再び作動させる取り組みを進めており、計画通りにいけば英国でのコンコルド初飛行から50年を迎える4月9日にまでに実現しそうだ。
博物館「エアロスペース・ブリストル」のマーケティング責任者、アダム・ジョーンズ氏はCNNの取材に、コンコルドが「間違いなく展示の目玉だ」と説明。来館者はすでに機首の周囲に集まり、技術者による修理の様子を見学しているという。
コンコルドの元チーフエンジニア、ジョン・ブリットン氏も機首の機動復元有志メンバーの一人/Aerospace Bristol
コンコルドは英仏が共同開発した。音速の2倍の速度で飛行可能で、英ロンドン・米ニューヨーク間を3時間半未満で結んでいた。
しかし衝撃音をめぐる反発が高まり、1976年までにほぼ全ての発注がキャンセルされた。2000年7月には墜落事故で109人の死者を出し、さらにイメージが低下。03年を最後に運航停止となった。
機体の他の部分を起動させずに機首の動きだけよみがえらせるのは難しい。博物館のチームは機体のオリジナルの電気システムを使おうと、新たなケーブルや変圧器を設置。今後は寄贈を受けたモーターや電源関連装置も据え付ける計画だ。
アルファ・フォックストロットの最後の着陸から15年超が経過したが、コンコルドへの興味は衰えていない。その理由についてジョーンズ氏は「今でも唯一無二の存在だからだ」と推測。「コンコルドは信じられないような技術的偉業であり、豪華な空の旅の最高峰だった」と話している。