自然が生んだ驚異に息をのむ、世界各地の奇観24選
(CNN) 人類が作り出した見事な観光名所は世界に数多く存在するが、創造性で自然にかなうものはない。
今回は、モンスターに似た木や色鮮やかな陥没穴、高くそびえる岩石層など、世界の珍しくも魅力的な風景の一部をご紹介する。
キングリー・ベール(英国・サセックス州)
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ねじれ、節くれ立ったキングリー・ベールのイチイの木の中には、樹齢2000年の木もあり、英国最古の生物と考えられている。
フェアリー・チムニー(トルコ)
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トルコ中部カッパドキアのフェアリー・チムニー(妖精の煙突)は、硬い玄武岩の柱で、数千年の間に風雨が周りの柔らかい岩を侵食し、現在の幻想的な姿になった。
石柱群の地下には、迫害を受けた初期キリスト教徒らが築いた洞窟や都市が存在する。
ジャイアンツ・コーズウェイ(北アイルランド)
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北アイルランドの大西洋岸に位置するジャイアンツ・コーズウェイは、アイルランドの巨人フィン・マックールが作ったという伝説があるが、実際は、溶岩が数百万年の間に冷却され、収縮することにより、石柱群が形成された。
モエラキ・ボールダーズ(ニュージーランド)
/Kai Schworer/dpa/AP
この巨大な球形の岩は、どうかすると人間の創作物に間違われるかもしれない。人の手で作られた何かがノースオタゴ沿岸のコエコヘビーチに流れ着いたかのように見えてしまう。だが実際のところ、この高さ約2メートルの丸い石は、泥岩が500万年かけて凝固したことによりが形成された。その後の侵食作用により周りの岩が除去されて、中の硬い丸石が出現したのだ。
グレートブルーホール(ベリーズ)
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グレートブルーホールは、幅300メートル、深さは約125メートルある世界最大級の陥没穴だ。
ベリーズ珊瑚礁保護区内にあるこの巨大な穴は、何千年も前に地上の洞窟が海面上昇で水没したことによりできた。
キャノ・クリスタレス(コロンビア)
/Kike Calvo/AP
コロンビア中央部を流れる川、キャノ・クリスタレスは、乾季から雨季に変わる9月から11月のわずかな期間、水の色が赤、黄、緑に変化する。
この色鮮やかな光景は、川底に生息するマカレニア・クラビゲラと呼ばれる植物によって作り出される。
デッドフレイ(ナミビア)
/Matthias Toedt/dpa/AP
現地の言葉で「死の沼地」を意味するデッドフレイは、場所によっては高さ約400メートルにもなる世界一高い砂丘に囲まれている。
900年前の急激な気候の変化で地面が干上がり、今ではキャメルソーンの枯れ木が立っているだけだ。干ばつのため枯れ木が腐敗せずに残り、この不気味な光景を作り出している。
チョコレート・ヒルズ(フィリピン)
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フィリピン・ボホール州にあるチョコレート・ヒルズは、まるで子どもが描いた絵のような景色だが、全くの自然の産物だ。
1268あるこの円錐状の石灰岩の丘は、数千年に渡る水と侵食の作用によって形成された。丘を覆っている草が乾季に入ると枯れて茶色に変色することからこの名が付いた。
キラウエア(米国・ハワイ州)
/U.S. Geological Survey/AP
ハワイ島で最も活発な火山であるキラウエア火山は、ほぼ継続的に噴火しており、溶岩が道路に流れ出し、家屋やリゾート地を破壊している。
21万~28万年前に形成されたと考えられており、約10万年前にハワイ島の南東岸の海面上に出現した。
ヒリアー湖(オーストラリア)
/Shutterstock
オーストラリア・ルシェルシュ群島のミドル島の砂浜からわずか数メートルに位置するヒリアー湖の鮮やかなピンク色は、周囲の海の青と見事なコントラストをなしている。
湖に生息するドナリエラと呼ばれる藻が生成する色素が、湖の塩水を一見自然の色彩とは思えないほど鮮明なピンク色に変えていると考えられている。
デビルズタワー(米国・ワイオミング州)
/Mladen Antono/AFP/Getty Images
ワイオミングの空に向かってそびえるデビルズタワーは、ベル・フォーシェイ川からの高さが約385メートルあり、一部のアメリカ先住民の聖地となっている。
この岩石は、周囲の堆積(たいせき)岩が侵食された後、中の火成岩(マグマが冷やされて固まってできた岩石)が地表に現れることにより形成された。
SFファンの間では、1977年公開のスティーヴン・スピルバーグ監督の映画「未知との遭遇」で宇宙船が着陸した場所として知られる。
ダロル(エチオピア)
/Carl Court/Getty Images
ダロルは、エリトリアとの国境近くに位置するダナキル低地内にあり、平均気温は34度を超え、地球上とは思えない、まるで火星のような光景が広がる。
付近一帯に湧いている色鮮やかな熱水も有名だ。
サハラの目(モーリタニア)
/George Steinmetz/Corbis Documentary/Getty Images
リシャット構造とも呼ばれるサハラの目は、隕石の衝突でできたクレーターではなく、侵食により形成されたドーム型の構造と考えられている。
直径40キロのこの巨大な環状構造は、地上から見るとサハラ砂漠の他の部分と全く変わらないが、地球の軌道から見るとアンモナイトの化石のように見える。
スノーモンスター:樹氷(日本・蔵王)
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山形県の蔵王山では、この氷の彫刻が多数見られる。厳しい冬が来ると、シベリアからの季節風が蔵王連峰に雪を降らせ、その雪が山の木々の上に積もる。
木々は雪が積もった状態で凍結し、まるでマンガから飛び出したモンスターのような形に変化する。
月の谷(アルゼンチン)
/Insights/UIG/Getty Images
月の谷は、アルゼンチン北部に位置し、岩だらけの荒涼とした風景からその名が付いた。
イスチグアラスト州立公園としても知られ、スフィンクスと呼ばれる古代エジプトのスフィンクスに似た巨岩や、マッシュルームと呼ばれるきのこ形の奇岩、さらに丸いボールのような石が点在するカンチャ・デ・ボチャなど、見所は多い。
バーミリオン・クリフ(米国・アリゾナ州)
/Prisma by Dukas/UIG/Getty Images
バーミリオン・クリフはユタ州との州境のすぐ南に位置する。渦を巻くような砂岩の峡谷やアーチは探索のしがいがあり、他の旅行者に会うこともほとんどない。
ハウカダルール地熱地帯(アイスランド)
/Mikel Bilbao/VW PICS/UIG/Getty Images
ゲイシール間欠泉やストロックル間欠泉で知られるこの広大な地熱地帯は、首都レイキャビクの東60キロに位置する。近くに手軽に利用できるキャンプ場もあり、時間をかけてじっくり探索する価値はある。
トロルキルカ鍾乳洞(ノルウェー)
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トロルキルカはトロル(北欧神話に登場する妖精の一種)の教会という意味だが、ここは祈りを捧げる場所ではなく、勇敢な訪問者がきつい山歩きの果てに入れる鍾乳洞だ。最大の見所は全長70メートルのメインの鍾乳洞で、中に滝がある。
ブライスキャニオン(米国・ユタ州)
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ブライスキャニオン国立公園は、人気では近くのグランドキャニオン国立公園に遠く及ばないが、すばらしさでは全く引けを取らない。
見所は「フードゥー」と呼ばれる、大地から突き出した赤、白、黄の岩の尖塔群だ。これらの柱は、底は軟らかい岩、先端は硬い岩でできており、数千年に及ぶ風化と侵食によって形成された。
死海(イスラエル)
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死海は、地表で最も低い場所にあり、塩分濃度は海水の9倍以上だ。
トルコまで延びる断層の一部と考えられており、かつては地中海につながる潟の一部だったと考えられている。
スポッテドレイク(カナダ)
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ブリティッシュコロンビア州の中心に位置するスポッテドレイクは、冬の間はごく普通の湖に見えるが、気温が上昇し、水が蒸発すると、青、黄、緑の巨大なスポット(水玉のような模様)が出現する。
この模様を作り出しているのは、湖底に沈殿している硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、カルシウムといったミネラル成分だ。
血の滝(南極)
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血の滝は、南極のテイラー氷河の先端に位置する。
2017年に科学者らが、血の滝の赤色の原因が、高濃度の塩水に含まれる酸化鉄であることを突き止めた。
氷河の下に閉ざされていた塩水が150万年かけて滝にたどりつき、この水が酸素に触れると、酸化して赤色に変色する。
甘粛張掖国家地質公園(中国)
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甘粛張掖(かんしゅくちょうえき)国家地質公園の「虹色の山脈」は、数百年の間に堆積した砂岩や泥岩、さらに色とりどりの堆積岩の層で構成されているが、地層が大きく傾いているのは構造プレートの動きによるもので、ヒマラヤ山脈もこのプレートの動きによって形成された。
ダルヴァザのガスクレーター(トルクメニスタン)
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地元の住民が「地獄の門」と呼ぶダルヴァザのガスクレーターは、約半世紀前に人の手によって誘発された自然現象だ。
ソ連の科学者らは、石油を探している時に天然ガスが埋蔵するくぼみを発見したが、そのくぼみは間もなく崩落し、科学者らは採掘の装置を失った。周囲のカラクム砂漠の野生動物の生命を奪う恐れのあるメタンガスの放出にうろたえた科学者らは、ガスクレーターに点火し、ガスがすぐに燃え尽きるのを願った。
しかし、天然ガスは現在も地下30メートルの深さまで赤々と燃え続けており、トルクメニスタンの主要な観光名所になっている。