極超音速「宇宙飛行機」、2030年までに就航か ロンドン・シドニー4時間
(CNN) 英宇宙局は24日、ロンドン・シドニー間を4時間で結ぶ「宇宙飛行機」を2030年までに就航させる構想を明らかにした。実現の成否を握るのは英国で開発中の極超音速ロケットエンジンだ。
新プロジェクトの目玉となる「複合予冷空気呼吸ロケットエンジン(SABRE)」は、オックスフォードシャー州に拠点を置くリアクション・エンジンズが開発した。
英宇宙局のトップ、グレアム・ターノック氏は「SABREエンジンを完成させれば、わずか4時間でオーストラリアに行けるようになるかもしれない」と話す。
リアクション・エンジンズは今年4月、予冷器の試験に成功したと発表。実験では音速の3倍以上となるマッハ3.3の状況をシミュレートした。
宇宙飛行機実現のかぎを握る「複合予冷空気呼吸ロケットエンジン(SABRE)」/Reaction Engines
これは超音速旅客機コンコルドの巡航速度の1.5倍以上で、ロッキード社の史上最速ジェット機「SR71ブラックバード」がたたき出した記録に匹敵する。
これほどの高速の場合、エンジンを通過する空気は極めて高温に達し、故障を招く可能性がある。予冷器はこうした空気がコアエンジンに入る前に冷却する役割を担う。
SABREエンジンは設計上、大気圏内でマッハ5を超え、その後はロケットとして宇宙空間を最大マッハ25で飛行できる。大気から空気を取り込むことで、自前の酸素を搭載する既存のロケットエンジンに比べ燃費の改善や軽量化を実現する。
宇宙飛行機は大気圏で空気を取り込み、ロケットとして宇宙空間を最大マッハ25で飛行する/Reaction Engines
リアクション・エンジンズの関係者によると、SABREはいわばロケットエンジンと航空用エンジンのハイブリッド。「ロケットは70年間進歩していないが、航空用エンジンは大幅に効率化した。両者を組み合わせることができれば、非常に軽量な推進システム、そして宇宙飛行機を実現できる」という。