ロンドンの三つ星すし店、星全て失う 店側「残念」
(CNN) このほど発表されたミシュランガイドの格付けで、英ロンドンのメイフェア地区に店を構えるすし店「The Araki」が三つ星をすべて失った。店側はCNNの取材に、「残念だ」と話している。
The Arakiは荒木水都弘さんが2014年に開店した。ロンドン最小規模のレストランで、座席はカウンター10席と常連客向けの個室にある最大6席のみ。おまかせコースの値段は1人310ポンド(約4万2500円)となっている。
荒木さんは以前、東京に三つ星店を所有しており、ロンドン進出後は1年以内に初の星を獲得した。19年3月には新たな店を開くため香港に拠点を移した。
The Arakiを引き継いだのは弟子のマーティ・ラウさん。15年から荒木さんと仕事を共にし、GQ誌の今年の記事では「恐ろしく有能」との評価も得ている。
ラウさんはCNNの取材に、2020年版ガイドに掲載されなかったのは「残念だ」と述べた上で、「公正な判断と受け止めており、師匠の荒木水都弘さんが店を離れた後の新たなスタートになる」と語った。
さらに「2020年版ガイドの調査期間の半分は荒木さんがここにいたので、ミシュランはどう格付けすれば良いか難しい判断を迫られたと思う」とも語った。
ミシュランに説明は求めることはしていないとラウさん。「これは彼らのガイドだ。彼らの方針を全面的に尊重する。今回の評価をしっかり受け止め、自分の力の証明していく前向きな姿勢でいる」という。
そのうえで、常連客の多くは今も来店していると説明。「ミシュランは重要だが、私たちはいつも、The Arakiを訪れるお客様を何よりも大切にする。最終的には、我々を評価し我々の運命を決めるのはそうしたお客様たちだ」と話している。
「皆さんに理解してほしいのは、師匠の荒木さんが開店以降彼についてきたチームにこのすし屋を任せてくれたこと。彼はこの状況を、我々が彼の影の中ではなく、自分たちの光で称賛を勝ち取るすばらしい機会だと毅然とした姿勢を示した」(ラウさん)
ラウさんは開店後まもなく店に入った。「全ては彼が教えてくれたやり方でやっている」「彼がロンドンに来たとき、新たな食材に慣れる必要があった。彼には常に進化があり、我々はその工程を共にした。その精神は全て我々が引き継いでいる。常連のお客様からの温かい言葉に感謝し、最善を尽くしていく」との決意を語った。
2020年のガイドから消えるのはThe Arakiだけではない。ヒルトン・パーク・レーンにあるGalvin at Windowsやメイフェア地区のインド料理店Benaresも星を失った。同ガイドに掲載される英国の三つ星レストランは5店となる。