最も安全な旅行先? コロナ禍でプライベートアイランドに熱視線

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新型コロナウイルスの感染が世界各地で広がるなか、自分専用の「プライベートアイランド」に注目が集まっている/Courtesy Private Islands

新型コロナウイルスの感染が世界各地で広がるなか、自分専用の「プライベートアイランド」に注目が集まっている/Courtesy Private Islands

(CNN) 新型コロナウイルスの世界的な大流行により、ほぼすべてのレジャー旅行が休止したままだが、その一方で、プライベートアイランドへの需要は増加している。

仲介業者や旅行業界に詳しい専門家らによると、今年3月以来、島の購入や賃借を検討している見込み客の間で、自分専用の島「プライベートアイランド」への避難に対する関心が高まっているという。

800以上の島の賃貸・販売を手掛けるカナダ・オンタリオ州の不動産会社プライベート・アイランズの最高経営責任者(CEO)、クリス・クロロウ氏によると、同社が1日に受ける問い合わせの数は、コロナ危機前の約100件から、現在は150件に増えているという。

見込み客は主に米国やカナダの在住者で、カリブ海や中米の島々に関心を持っている。

「彼らはアクセスが容易な場所を望んでいるため、アジアや南太平洋は対象から外れる」とクロロウ氏は言う。

借りるか、買うか

クロロウ氏は、ベリーズ珊瑚礁保護区に浮かぶ孤島、グラッデン島を個人的に所有し、賃貸している。そのグラッデン島の予約が最近急増しており、プライバシーへの関心の高まりがうかがえる。クロロウ氏によると、グラッデン島は常に人気は高いが、新型コロナウイルスの感染拡大後、瞬く間に、今年の予約がほぼ埋まったという。

グラッデン島は借りることも可能だ/Courtesy Private Islands
グラッデン島は借りることも可能だ/Courtesy Private Islands

きらめくターコイズブルーの海に囲まれた、広さ1エーカー(約4000平方メートル)の小さな島、グラッデン島に一度に宿泊できるのはわずか4人で、ボート1隻と隣の島に住む4人のスタッフが付いている。すべて込みの2人の宿泊料金は3695ドル(約40万円)から。

一方、島の購入は賃貸ほど簡単ではなく、件数も少ない、とクロロウ氏は言う。同氏の会社では、新型コロナウイルスの影響で旅行が不可能になり、購入者が島を自分の目で確かめられなくなってから、1件の売買も成立していないという。

買うならバハマの島?

世界のバイヤーたちは、カリブ海地域でも特にバハマの島を購入する傾向にあるようだ。

ダミアノス・サザビーズ・インターナショナル・リアルティーのブローカー、ニック・ダミアノス氏によると、新型コロナウイルスの流行が始まって以来、プライベートアイランドの販売に関する問い合わせが、月に12~15件から30件以上へと2倍以上に増えたという。売り出し中のプライベートアイランドの画像をウェブ上で見られるサービスへのアクセス数も増えている。

世界のバイヤーがバハマのプライベートアイランドの購入に魅力を感じるのにはいくつかの理由がある。まず、バハマには所得税やキャピタルゲイン税がない。またバハマは米国に非常に近く、経済的、政治的にも安定している。

ベリーズには500万ドルで売りに出されている島も/Courtesy Private Islands
ベリーズには500万ドルで売りに出されている島も/Courtesy Private Islands

ダミアノス氏によると、現在バハマには売り出し中のプライベートアイランドが20近くあり、その半分が過去1年以内に売り出されたという。

エグズーマ諸島にある価格2900万ドル(約31億円)の島もその1つだ。広さ約18.6ヘクタールの島内には4軒の家があり、寝室は計8室。さらにスタッフ用のコテージが3軒ある。全長210メートル以上のマリーナや、長く続くビーチ、舗装された歩道もある。

ダミアノス氏は、「必要なものはすべてそろっており、ホテルに宿泊しているような感じ」と述べ、さらに「スーツケース1つで来られる」と付け加えた。

プライバシーこそ究極のぜいたく

高級旅行専門の旅行会社のネットワーク「バーチュオーソ」のグローバル広報(PR)の責任者を務めるミスティ・ベルズ氏によると、バーチュオーソでもプライベートアイランドの予約だけでなく、問い合わせも大幅に増えているという。

「一般に、人々は家族や親しい友人以外の人は避けたいと考えている。プライベートアイランドはそれを実現するのに最適な環境だ」とベルズ氏は言う。

ニューヨークの高級旅行専門の旅行会社エンバーク・ビヨンド・トラベルの創設者ジャック・エゾン氏もベルズ氏と同意見だ。

「われわれの顧客は、安心と快適さを求めており、家族や友人と再会できる場所に行きたいという声を耳にする。それを聞いて最初に思い浮かぶのはプライベートアイランドだ」(エゾン氏)

プライベートアイランドの魅力

エゾン氏によると、エンバークの顧客が最も興味を持っているのは、マッシャ・ケイやネッカー島といった米国から近いカリブの島の賃借だという。

米国のプロマジシャン、デビッド・カッパーフィールド氏が所有するマッシャ・ケイは、バハマのグレートエグズーマ島からボートでわずか45分の場所にあり、5軒の家に計12室の寝室がある。宿泊料金は1泊4万2000ドル(約450万円)と高額だが、7つのビーチやオーシャンフロントのホットタブとプールが利用可能で、セーリングをはじめ、水上スキー、釣り、シュノーケリングなど、さまざまなアクティビティーも楽しめる。

英領ヴァージン諸島の1つで、広さ約30ヘクタールのネッカー島の宿泊料金は、1泊10万2000ドル(約1090万円)と、マッシャ・ケイの2倍以上だ。英ヴァージン・グループ創業者で大富豪のリチャード・ブランソン氏が所有するこの島は、ブランソン氏がコロナ危機で大打撃を被った自身の旅行事業を救うために担保に入れたことで脚光を浴びた。

しかし、そんなことでネッカー島の魅力が薄れることはない、とエゾン氏は言う。

ネッカー島は数カ月間の隔離生活をするにはうってつけの場所かもしれない/Courtesy Virgin Limited Edition
ネッカー島は数カ月間の隔離生活をするにはうってつけの場所かもしれない/Courtesy Virgin Limited Edition

寝室は計11室あり、特にすばらしいのが屋外ホットタブ付きのバリ風のメインビラだ。ほかにも6軒の小さなバリ風の家、数本のヤシの木が立ち並ぶビーチ、プールサイドバーと30人が入れる大きなホットタブを備えたプールパビリオンなどを備える。また宿泊料金にはカイトサーフィン、ウェイクボード、プロ選手とのテニスレッスンなど、さまざまなアクティビティーの料金が含まれており、周辺の島々への小旅行も可能だ。

「ネッカー島は、数カ月間の隔離生活後に再会しようと考えているカップルや家族のための究極の隠れ家だ」とエゾン氏は言う。

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