国境封鎖の北朝鮮から「トロッコ」で越境、ロシア外交官ら
ソウル(CNN) 北朝鮮の平壌駐在のロシア大使館は27日までに、新型コロナウイルス対策で国境を封鎖中の北朝鮮からロシア外交官とその家族ら計8人が手押し「トロッコ」などを駆使してロシア側に無事にたどり着いたと報告した。
今週成功した「脱出」で、34時間以上要する苦行ともなった。最初の32時間は保守点検が劣悪で速度も遅い列車を利用。この後、バスに2時間乗って国境近くへ接近。ロシアへつながる最後の線路部分で事前に注文していたトロッコを押し続けたという。
ロシア大使館は、家族と多数のトランクを積んだトロッコを前へ進める3等書記官が奮闘する姿の写真2枚も公表。家族には3歳の娘も含まれていた。冬の厚着姿の書記官がトロッコを押し続けた距離は1キロで、ロシアと北朝鮮を分ける河川の豆満江も渡った。
一行は、ロシア側のハサン駅で同国外務省の同僚の出迎えを受け、ウラジオストク空港へ送り届けられた。ロシア大使館は、今回の越境劇は一行が北朝鮮を出国出来る唯一の方途だったとも説明した。
北朝鮮による国境封鎖は過去数カ月間続き、同国内に残る少数の外交官も立ち往生に近い状態に直面している。北朝鮮国営の高麗航空がウラジオストク空港へ就航しているが、数カ月間欠航となっている。
ロシアの駐北朝鮮大使によると、北朝鮮にとどまり続けている外国人は食料品店の商品が払底し、失業に遭遇する人々の苦境も報告しているという。
北朝鮮の国境封鎖は、最高指導者の金正恩(キムジョンウン)総書記が国内の公衆衛生対策が貧弱であることを自覚し、新型コロナの感染が拡大すれば対応出来なくなる事態を警戒しているのが理由との見方もある。