上海からニューヨークまでわずか2時間? 中国が極超音速旅客機の開発競争に参戦

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超音速旅客機「コンコルド」の2倍以上の速度で飛行する極超音速旅客機の開発をめぐる競争が激しさを増している

超音速旅客機「コンコルド」の2倍以上の速度で飛行する極超音速旅客機の開発をめぐる競争が激しさを増している

(CNN) 中国・上海から米ニューヨークまで、わずか2~3時間で行くことは可能なのか――。

北京に拠点を置くスペース・トランスポーテーション(凌空天行)は、超音速旅客機「コンコルド」の2倍以上の速度、秒速1マイル(約1.6キロメートル)で飛行する極超音速旅客機の開発によって、これを実現することを目指している。

同社が公開したプロモーション映像によると、12人の乗客(ヘルメットや宇宙服は不要)を乗せた極超音速旅客機はブースターを2基備えたデルタ型の構造物の下に収まる形で空に向かって垂直に発射され、巡航高度に達したところで分離。時速7000キロメートルで飛行し、垂直に目的地に着陸する。

同社は2025年に初のサブオービタル(準軌道)宇宙旅行のテスト飛行を行い、30年までに極超音速旅客機の本格始動を目指すとしている。

この構想が実現すれば、中国の野心的な取り組みを体現することになる。中国は極超音速で2地点間を直接結ぶ、ビジネス旅行者向けの「ポイント・ツー・ポイント(PtoP)」型の飛行のみならず、潜在的に収益性が高い宇宙旅行のニッチ市場にも進出することを見据えている。このため、極超音速旅客機の開発は、中国投資界の重要なプレーヤーに支えられている。

スペース・トランスポーテーションをめぐっては、昨年8月、プライベートエクイティ(PE)会社のマトリックス・パートナーズ中国が率いる上海の産業投資ファンドは国営の上海国盛集団と共同で3億元以上の初期資金を調達した。

まさにロケット科学

中国とロケット技術の関係は、中国の金王朝とモンゴル帝国の戦いがあった1232年にまでさかのぼる。中国の弓兵は、火薬を詰めた竹筒を矢に取り付け、発射時に点火させるロケット式兵器「火箭(かせん)」を連射してモンゴルの侵略者を撃退した。

現在、空の戦いという文脈において、中国の主要なライバルは米国とロシアであり、戦いの場所は成層圏と地球低軌道である。カナダの調査会社エマージェン・リサーチの最近の分析によると、世界のサブオービタル輸送と宇宙旅行市場の収益は、複合年間成長率16.8%で拡大し、市場規模は20年の4億2370万ドルから28年には14億4000万ドルに拡大すると予測されている。

盛り上がる宇宙旅行

今のところ、A地点からB地点への移動手段としてのサブオービタル飛行は、まだ先の話だ。

だが、スペースバルーン(高高度気球)や、無重力体験ができるパラボリックフライト(放物飛行)など、宇宙好きにとって楽しみのための選択肢は拡大しており、近い将来には宇宙遊泳も可能になるかもしれないという。

米宇宙企業スペースXによる宇宙飛行ミッション「ポラリス・ドーン」は、フロリダ州にあるケネディ宇宙センターの39A発射場から今年後半に打ち上げられる計画だ。乗組員は軌道上に最大5日滞在し、初の商用船外活動を行う。このミッションは、今後の月や火星への有人飛行などへの足掛かりとなる。

だが、宇宙旅行の費用は天文学的な数字だ。昨年12月には、グレナダの世界貿易機関(WTO)の常駐代表で、暗号資産(仮想通貨)「トロン」の創設者であるジャスティン・サン氏が、米宇宙飛行企業ブルーオリジンによる再利用可能なロケット「ニューシェパード・ロケット」の座席を2800万ドルで落札した。

落札金は、ブルーオリジンの財団「クラブ・フォー・ザ・フューチャー」に寄付された。同財団は宇宙分野の慈善団体を支援し、次世代の若者たちに科学、技術、工学、数学(STEM)分野でのキャリアを追求するよう促している。サン氏は5人の乗組員とともに、今年後半にニューシェパードで宇宙飛行する計画という。

昨年12月には、日本のファッション界の大物、前澤友作氏と同氏のプロデューサーを務める平野陽三氏、ロシアの宇宙飛行士アレクサンドル・ミスルキン氏が、往復でおよそ8000万ドルの運賃を支払い、国際宇宙ステーション(ISS)に12日間滞在後、ロシアの宇宙船ソユーズで無事に地球に帰還した。

また、米宇宙企業ヴァージン・ギャラクティックは、今年10~12月に開始予定の90分の宇宙飛行を1座席当たり45万ドルで販売中だ。

ヴァージン・ギャラクティックのマイケル・コルグラジエ最高経営責任者(CEO)は声明の中で、「宇宙旅行への需要は高く、予定していたペースよりも早く座席が売れている」と述べている。同社によると、これまでに約700席が売れたという。

だが、宇宙旅行は高額であるため、少なくとも今のところは超富裕層が市場を独占しているとみられている。

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