「世界最大のクルーズ船」、イラストに賛否分かれる 専門家の分析は?
マネーメーカー
ノースカロライナ大学チャペルヒル校の心理学者ジョナサン・アブラモウィッツ氏もこのイラストは見る者をいら立たせ、混乱させると考えている。
「あまりに多くのことが同時に行われているように見えるし、それらがすべて海の上で行われており、緊急時に逃げ場がないという点も(人々が不快感を抱く)要因かもしれない」(アブラモウィッツ氏)
しかし、カナダのニューファンドランド・メモリアル大学の社会学者でクルーズ船の専門家でもあるロス・クライン氏によると、このアイコン・オブ・ザ・シーズの所有者がマイアミに拠点を置く米クルーズ大手ロイヤル・カリビアンであることを考えれば、この船のデザインは自然な成り行きだという。同社の過去25年間のデザインの方向性の延長にすぎない、とクライン氏は指摘する。
クライン氏も、このイラストに対する反応は主に過去のクルージング体験に基づいていると考えている。ロイヤル・カリビアンのファンたちは、イラストを見て興奮し、早く乗ってみたいと思うだろうし、逆に普段クルージングをしない人や、小型船や超豪華客船など、異なるスタイルのクルージングを好む人々は、このイラストに嫌悪感を抱くだろう、とクライン氏は言う。
クルーズ船の専門家、スチュワート・シロン氏もクライン氏と同意見で、否定的な反応は明らかにクルージングをしない人々からの反応だが、肯定的な反応の方が圧倒的に多いと主張する。
ロイヤル・カリビアンの広報担当者によると、2022年10月にアイコン・オブ・ザ・シーズが公開されて以来、「非常に多くの反響」があり、販売開始後1週間に入った予約の件数が創業以来最高を記録したという。
一部の航海はすでに完売している。7日間のクルージングの料金は1人約2000ドル(約30万円)以上に上ることから、ロス・クライン氏は、同船が今後、利益を生むマネーメーカーになる可能性が高いと見ている。