裸の付き合いにも礼儀あり ヌーディストビーチでのエチケットとは

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ヌーディストビーチでのエチケットについて専門家に話を聞いた/FTiare/iStockphoto/Getty Images via CNN Newsource

ヌーディストビーチでのエチケットについて専門家に話を聞いた/FTiare/iStockphoto/Getty Images via CNN Newsource

(CNN) 太陽の下で水着に着替え、冷たい海に足を浸し、きらめく水平線のかなたに向かって泳いでいく。こうした開放感と高揚感を味わった人は多いだろう。

だが最後の布切れをはぎ取って、全裸になってみたらどうだろう。突き詰めて言えば、生まれたままの姿は世界最古の衣装だし、流行遅れになることもない。

ナチュリスト運動(裸体主義)は19世紀末に欧州で芽生え、いまや世界中で人気を博している。地球上にはヌード専用のビーチが多数あり、短パンと制約を脱ぎ捨てても完全に合法だ。しかもそうしたビーチの数は増え続けている。

裸体主義を愛する人々は、ヌード専用クルーズ船でカリブ海を周遊したり、イタリアの島で裸のまま結婚式を挙げたりすることも可能だ。

ヌード初心者だが興味津々だという人のために、ヌード歴数十年のプロのナチュリストにビーチやリゾート地でのアドバイスを伝授してもらった。以下、出かける前に知っておきたい作法を見ていこう。

1.事前に下調べする

「ナチュリズムの定義は人によってまちまちだ。ナチュリズムという用語が誤用されているケースもある」と語るのは、世界唯一のナチュリズムの国際組織「国際ナチュリスト連盟(INF―FNI)のステファン・デシェンヌ会長だ。「自分が何を求めているのか、理解する必要がある」

これという決まったナチュリストの概念はないが、一般的には性的関係を伴わない、打ち解けた環境で社交的に裸になるライフスタイルをいう。

「ありがたいことに、これまでナチュリズムは非常にしっかり統率されてきた」とデシェンヌ氏。INF―FNIはナチュリスト向けビーチを選ぶ際の一貫した信頼できる情報提供を目指して70年以上活動している。

2.飛び込んでみる

目的のビーチやリゾート地に到着したものの、周りの視線が気になるだろう。だが周りは気にしていない。

「自分が初心者だろうと、誰にも分からない」と語るのは元大学教授のロナ・クロジー氏。現在80代で、ヌード歴30年以上の大ベテランだ。2023年、コネティカット州ウッドストックにあるヌード専用家族向けリゾートキャンプ地「ソレア・レクリエーション・リーグ」でCNNにコツを教えてくれた。

「実際のところ、人が大勢いるところの方が楽かもしれない。ともかく、なんなら裸になって、まずはやってみる」(クロジー氏)

泳ぎと同じように、時には何も考えずに飛び込む方がベターだ。

3.距離を保つ

全米屈指のナチュリスト団体「全米ヌードレクリエーション協会(AANR)」の広報部長でもあるクロジー氏は、「教会のピクニック」の時のようにふるまうのがいいと語る。

「あまりにも距離を詰めて椅子や敷物を置かないように」と同氏は付け加えた。「他人に身体をすり寄せるなど、性的行為と思われるようなことは許されない」

ヌーディストは荷物が少ないのが特徴だが、ひとつだけ欠かせないアイテムがある。

「周囲の衛生に配慮して、座るときに敷くタオルを必ず持参すること」(クロジー氏)

4.じろじろ眺めたり写真を撮ったりしない

アイコンタクトや親しい会話を切り出すのは大歓迎だとクロジー氏は言う。「相手の目を見るようにすると、どこに視線を向ければいいか分かりやすいかもしれない。無礼で失礼だとみなされるので、見とれたり凝視したりしないこと」

ビーチといえば、やっぱりサングラスが定番だ。だがサングラス越しに隣の人をこっそり盗み見るのはいただけない。

許可なく写真や動画を撮影するのもご法度だ。服を脱ぐからといって、マナーまで捨て去っていいわけではない。

とにかく人として当然のふるまいをし、「出過ぎた行為」や「プライバシーに立ち入って相手に嫌な思いをさせる」ことはしないようにとデシェンヌ氏は言う。「これらはどんな状況でも慎むべき行為だ」

5.身体に関する発言は控える

「たとえ褒め言葉のつもりでも、相手の身体のことを口にすべきではない」とクロジー氏は言う。

デシェンヌ氏も言うように、肌の露出に関してますますオープンになっている社会ではもろ刃の剣だ。「ある意味、世間はヌードの概念にさほど驚かなくなっているが、一方でヌードは過剰なほど性的特徴を与えられ、性的対象にされてきた」

よく誤解されるのが、「服を着ないことがナチュリズムだと思われがちだが、それが目的ではない。それはあくまで身体を容認する手段に過ぎない」(デシェンヌ氏)

デシェンヌ氏によれば、願わくば「心を解放し、本来の自分に正直になって、より良好な人間関係を築くこと」が目的だという。デシェンヌ氏によれば、服は身体を保護するだけではない。「多くの場合、服は肩書や地位を表す。本来の自分を覆い隠して、社会からこうあるべきだと押し付けられた姿に見せようとするものだ」

6.うっかり興奮しても問題なし

クロジー氏とデシェンヌ氏がよく聞かれるのが、男性が生理的に興奮した場合どうすればいいかという質問だ。実際はというと、そこまで頻繁には起こらない。

「一番の恐怖だ」とデシェンヌ氏。「大半の男性がヌードとセックスを関連づけて生きてきたので、気持ちは分かる」

だがナチュリズムの環境はおしなべて性的関係とは無縁なので、そうしたことはめったに起こらないとデシェンヌ氏は言う。「男性が神経質になり過ぎると、かえって逆効果だ」

とはいえ、窮地に立たされた男性にクロジー氏からのアドバイスは、「タオルで身体を覆ったり、砂にうつぶせになったり、冷たい水に飛び込んでみたりすること」。それでも上手くいかないときは、「ごみの日にごみを出す」といったどうでもいいことに考えを集中させてみよう。

同じく女性からよく聞かれるのが、生理の時にどうすればいいかという質問だ。答えは、自分にとって最も居心地いいことをするのが一番だ。

生理用ナプキンを好むなら、下着をつけても構わない。好みや習慣に合わせて月経カップやタンポンを使うのでもいい。「ひもが見えても構わない」とデシェンヌ氏は言う。「生理が来るのは自然な生活の一部なのだから」

7.プライベートな趣味を混同しない

グローバル化が進み、対人関係がますます密になるこの時代、趣味嗜好(しこう)を共有する人々が集まるコミュニティーはこれまで以上に打ち解けた関係が可能になる。まさにプライベートライフの黄金期だ。だが間違っても、ナチュリストやヌーディスト、複数の恋愛を同時進行する人、一夫一婦主義に縛られない人、フェチ愛好家の人々を一くくりにしてはいけない。

「ナチュリストは常々、性的に解放的な人々と一緒くたにされる。ナチュリストが性的旺盛だったことはなく、今も違う」とデシェンヌ氏は言う。「他のコミュニティーには何の不満もない。ただ、ごっちゃにされると困ってしまう。私の友人が実に上手いたとえをしてくれた。『テニスをやるもよし、野球をやるもよし。だがテニスコートで野球をやろうとしないでくれ』」

8.楽しめたら、さらに深堀りしてみよう

地元を探索しつくしたら、今度は遠くへ行ってみたくなるものだ。「スケールで言うなら、フランスは今も昔もダントツでナチュリズムの旅行先ナンバーワンだ」とデシェンヌ氏。「きれいなビーチや海に事欠かないのがフランスの利点だ」

ドイツにもナチュリストの選択肢が数多くある。長年ヌード文化が社会で受け入れられてきたため、公園のような形式ばっていない場所でもヌードが可能な場合がある。よく見かけるのがスパで、デシェンヌ氏のおすすめはフランクフルトから程近いタウナステルメだ。

「ナチュリストの旅行先として、例えばタイは選択肢に挙がらないかもしれない。だが実際は、素敵なリゾートがいくつかある」とデシェンヌ氏。「全般的にナチュリズムを良しとしない社会なのでこうしたリゾートに限定されるが、いくつか素晴らしいリゾートもある。国としても非常に寛大だ。当然ながら、カリブ海や南米にも選択肢はたくさんある」

アドバイスをいただいたところで、あとは荷造りをするだけ。くれぐれも日焼け止めをお忘れなく。

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