C919に乗ってみた 中国初の国産旅客機、エアバスA320に対抗

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中国南方航空初のC919が滑走路への着陸を準備する様子=9月21日、杭州蕭山国際空港/CFOTO/Future Publishing/Getty Images

中国南方航空初のC919が滑走路への着陸を準備する様子=9月21日、杭州蕭山国際空港/CFOTO/Future Publishing/Getty Images

北京(CNN) 私は航空会社数十社の旅客機で、世界中を100万マイル以上旅してきた。北京からから上海まで中国国際航空の短距離便に搭乗した回数は数えきれない。

北京と上海を結ぶ便は、航空各社が週に60便以上、毎日運航している。ボーイング747や最新型のエアバスA350など、大型旅客機が使われることも多い。

ほぼ1000機を保有する中国国際航空は、私が直近で利用した便にナローボディー機を使用した。ただし単なる幅の狭い機体ではない。同航空初の、そして今のところ唯一の「C919」だった。

C919は中国初の本格国産旅客機で、上海に拠点を置く国有企業の中国商用飛機(COMAC)が製造した。長年をかけて開発され、予定が大幅にずれ込んだ末に、双発機のC919は2023年5月、中国東方航空が運航する初の商用便が就航した。

世界の航空業界を塗り替える可能性があると言われたC919は、世界で最も売れているボーイング737とエアバスA320に対抗を目指す。

受注数は1000機を超えたものの、C919には「中国度」をめぐる疑問(エンジンや飛行制御システムなどの主要部品は米国や欧州から輸入)や、エアバスとボーイングの独占状態にある市場参入の現実性をめぐる疑問が付きまとう。

だが私のような航空オタクにとって、まだ希少なこの最新鋭機に搭乗できるワクワク感は、その程度では冷めなかった。現時点でC919の運航が認められているのは中国本土のみ。しかも実際に飛行しているのは一握りにすぎない。

私は初めてC919の実物を見るために、出発の1時間前に北京の首都国際空港に到着した。遠くから見ると、丸みを帯びた機首と(ボーイング737に比べて)カーブした胴体はA320と間違いやすかった。しかし詳しい人が見れば、C919の特徴的なコックピットの窓や翼の先端に気付くだろう。

就航から1カ月のC919に足を踏み入れた私の第一印象は、新しい航空機の臭いが多少残るA320のようだという感覚だった。C919を運航している「ビッグスリー」の中国国営航空会社のうち、中国国際航空が選んだのは、ファーストクラス8席にエコノミークラス150席という計158座席の最も広々とした構成だった(最大192席の配置が可能)。

エコノミー乗客にとって、この足元の広さは評価できる。前払いで非常口前の座席を予約した私は、非常口前の両方の座席(19番と20番)で国内線のファーストクラスさえ上回る足元の広さに満足だった。身長180センチの私でも、前の座席にほとんど触れずに軽々と足を伸ばすことができた。

それ以外の内装はごく普通に見えた。空調は個々のエアノズルで調整でき、非常口前を除くエコノミー座席には、トレイテーブルのすぐ上に、スマートフォンやタブレットを置く折りたたみ式のホルダーがある。

エコノミー座席自体は通路をはさんで両側に3席が並ぶ典型的な配置で、航空各社が客室に詰め込む座席数を増やす中で人気が高まっている薄型の設計だった。

それでも無料の枕のおかげで不快に思うことはなかった。私は背中に枕を入れてクッション性を高めた。座席の下には、乗客3人で分け合うUSB-AとUSB-Cのポートが二つある。

最大航続距離5555キロの旅客機として、中国国際航空が運航するC919の機内エンターテインメントは乗客自身に任されているらしい。各座席の背部には(機内誌が入った)シートポケットや私物入れがあるものの、座席ごとの画面や機内WiFiはない(ドロップダウンスクリーンに表示される番組は万国共通で不人気らしい)。デバイスホルダーはその代わりと思われる。

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