米国は落下を回避できるのか 世界が見つめる「財政の崖」
(CNN) オバマ米大統領の支持者が大統領選挙での勝利を祝う中で、世界中の実業界や金融政策当局のリーダーも大統領に祝辞を送った。しかし、世界経済のリーダーは同時に、(歳出削減と増税が自動的に発動される)「財政の崖」という問題へのワシントンの取り組みを、じりじりしながら見つめている。
欧州連合(EU)からは、バローゾ欧州委員会委員長とファンロンパイ首脳会議常任議長が連名で、大統領再選への祝意とともに、安全保障や経済上の世界の諸問題に共同で対処するためのEUと米国との関係のさらなる強化を訴えるメッセージを送った。
一方で、実業界のリーダーの中には、オバマ大統領の再選に否定的な見方をするものもいるが、党派別の懸念を超えて金融市場は、米国が「財政の崖」問題解決のために何をするのかを見守っている。
仮に年末までに対策が講じられなければ、10年間で7兆ドルにも上る歳出削減と増税が自動的に発動されるため、米国経済を景気後退につき落としかねないと専門家は警告している。
「財政の崖」問題については、真の脅威ではなく、連邦予算をめぐる2011年夏の瀬戸際の攻防と同様の一種の「チキンゲーム」が議会で再び繰り広げられているためだとの指摘もある。11年には米国は、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の最上級格付「AAA」を失っている。
国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は先月のIMF年次総会で、今回は何とか切り抜けられると思われているが、それだけは不十分だなどと懸念を表明。
短期的な問題の解決についても大きな不透明感があるが、世界は連邦政府債務や財政赤字などの解決についての中期的な米国の戦略も知りたがっているとの見方を示した。