「福島の教訓」に学ぶ原発、天然ガス利用促す声も 米国
安全性の確保は最重要課題だが、天候をコントロールすることは不可能であり、2011年に東北地方を襲った地震と津波、あるいは2005年に米南部を襲った超大型ハリケーン「カトリーナ」のような自然災害に備えることは難しいとサザン社はいう。
同社の技術担当者は、原子炉の被害を食い止める目的で、洪水や地震、火災、津波といった事態を想定した実験も行ったと説明。米原子力規制委員会(NRC)の広報も、「ボーグル原発の原子炉は、安全機能を強化した先端の設計を採用している」と語った。
NRCは今年3月12日、国内の原発に対し、大規模な自然災害によって電力が失われた場合の対策を立てるなど、福島第1原発の教訓を取り入れた対策を義務付ける方針を決定。さらに、こうした対策を実行に移すため、「日本の教訓に学ぶプロジェクト理事会」も創設している。
これに対し、科学者でつくる監視団体のエドウィン・ライマン氏は、原子炉の新設には賛成も反対もしないと断った上で、「AP1000の設計は、現在稼働中の原子炉に比べて安全性が高いとは思えない」「説明されている機能は、想定内の事故が発生した場合にしか機能せず、福島で起きたような重大事故には対応できない」と懸念を示す。
さらに、原子炉の安全対策以前に、天然ガスというもっと安価なエネルギー源があるのに、なぜ原子炉を新設するのかという疑問もある。