「財政の崖」問題 米与野党の土壇場の攻防続く
(CNN) 年明けに歳出の自動削減と増税が重なる、いわゆる「財政の崖」回避に向け米与野党の協議が続く中、米民主党のリード上院院内総務は30日、与野党の見解には依然として大きな隔たりがあると述べた。
リード氏は「与野党には大きな見解の相違があるが、交渉は続いている」とし、「まだ合意のための時間は残されており、今後も協議を続ける」と語った。
30日に上院で採決は行われないが、リード氏は31日朝に再召集された際に何らかの発表があるだろう、と語った。
仮に31日深夜までに与野党が合意に至らなければ、ブッシュ政権が2001年と2003年に導入した減税措置が失効し、実質的に増税となると同時に、1100億ドル規模の歳出削減が自動的に実行される。米連邦議会予算局(CBO)は、増税と歳出削減が同時に実行された場合、経済成長率は0.5%低下し、米国経済は再び不況に陥り、失業率は9%に上昇するとしている。
オバマ米大統領は、テレビのインタビューで、与野党の協議がこう着している原因は共和党にあるとし、同党に富裕層への課税に対する反対を取り下げ、合意するよう求めた。
大統領は「共和党は、財政赤字削減への真摯(しんし)な取り組みが最優先と主張しているが、彼らの行動を見ていると、彼らが優先しているのは富裕層への減税措置を維持することのように思える」とし、「それこそが、彼らの統一的な最優先事項だろう」と述べた。
オバマ大統領は、富裕層への減税が維持されれば、平均的な中間層の負担は約2000ドル(約17万2000円)増加するとし、上院は中間層への増税を回避し、200万人が今後も失業手当給付金を受給できる法案を可決すべきだと語った。