NY市警、イスラム監視の部門廃止 9・11テロの対応組織
(CNN) 米ニューヨーク市警は19日までに、2001年の米同時多発テロ後、米中央情報局(CIA)の協力を得て新設していたイスラム教徒の監視活動部門を廃止したことを明らかにした。
同市内におけるイスラム教徒関連の企業やモスク(イスラム教礼拝所)の活動に目を光らせていた同部門の活動は物議を醸すと共に、公民権に関する訴訟の招く原因ともなっていた。
市警は声明で、「市内地域分析班」と呼ぶこの部門は今年1月以降、活動の大半が休止状態にあることを認めた。同班に配置されていた要員は別の部署に配属されたことも明らかにした。
ただ、市内地域分析班がこれまで収集してきた情報は今後生じる脅威への対応において有益になる可能性があるとも指摘。モスクなどに対する今後の情報収集については直接的な接触手段での入手に努力するとした。
同班の活動の是非については連邦憲法の観点からイスラム教徒の権利保護を訴える団体などが訴訟を起こしている。一部の提訴は今年2月に退けられているが、控訴している。今回の同部門廃止については歓迎しながらも遅すぎた対応と批判し、今後もイスラム教徒の社会の保護のために闘うと表明。部門の活動停止が事実なのかを監視したいとも述べた。
今回の市内地域分析班の解体については、連邦裁判所が、ニューヨーク市警が実施していた路上での「不審人物」に対する抜き打ち的な身体検査の敢行は憲法違反とした判断を反映しているとの見方がある。
市長と市警本部長が交代したことも一因との受け止め方もある。デブラシオ市長は同班廃止に伴う声明で、警察と奉仕すべき地域社会の間の緊張を緩和させる措置と指摘。「真の悪者を追い詰める刑事と市民の協力を追求する対応策」と主張した。