MERSウイルス、米国内での感染例を初めて確認
アトランタ(CNN) 米疾病対策センター(CDC)は17日、中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスに米国内で感染したとみられる初の症例が見つかったと発表した。患者はイリノイ州の男性で、すでに全快している。
CDCの医師によると、この男性は米国で初めて発症が確認されたインディアナ州の男性と仕事上の話で対面し、40分間にわたって接触したという。その後、軽い風邪のような症状が出たものの、医師の診察は受けなかった。血液検査の結果、感染の前歴があると判定された。
世界保健機関(WHO)の基準では生きたウイルスが検出された患者だけを感染者として扱うため、この男性は正式には該当しない。
米国初の患者とされる男性はサウジアラビアで医療業務に従事し、4月24日にロンドン経由で一時帰国した後、27日に呼吸困難やせき、発熱などの症状を訴え、28日から先週までインディアナ州の病院に入院していた。
米保健当局はこの男性と接触のあった病院関係者53人、家族6人と、仕事上の関係者らを対象に検査を実施した。感染したとみられるイリノイ州の男性は25日に本人と接触し、26日にも短時間会っていた。
MERSコロナウイルスは、2012年にアラビア半島で最初に確認された。WHOの統計によると、最近報告されたオランダを含め世界18カ国で計570人の感染が確認され、うち171人が死亡した。サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)で特に多く発生している。
ウイルスの起源は明らかでないが、最近の研究ではヒトコブラクダ2頭から数種類のMERSウイルスが検出され、そのうちひとつが人間の患者から検出されている型と完全に一致したと報告されている。