米軍、シリア空爆の標的拡大か アルカイダ系組織も視野に
ワシントン(CNN) 米軍がシリアで続行するイスラム過激派「イラク・シリア・イスラム国」(ISIS)の拠点などへの空爆で、米政府高官は6日までに、シリア内で活動するアルカイダ系の過激派「ヌスラ戦線」への新たな攻撃も視野に入れていることを明らかにした。
ISIS掃討をにらんで米国が武器支援などを行うシリア反体制派の穏健派勢力と交戦するヌスラ戦線の戦力を削ぐことを狙っている。米政府高官によると、同戦線への空爆計画は差し迫った段階にはないが、米国防総省やホワイトハウスも将来の選択肢の一環として位置付けている。
ただ、一部の米軍高官の間にはヌスラ戦線への攻撃の本格化はシリアなどでの作戦遂行に歯止めが利かなくなる恐れがあるとして消極的な意見もあるという。イラクやシリアでの軍事作戦について国防総省は、ISISによるイラク制圧の阻止が最優先事項と一貫して主張している。
ヌスラ戦線を攻撃の新たな標的にする計画は米紙ワシントン・ポストが最初に報じていた。ただ、シリアの過激派への空爆では米軍がテロ実行の脅威が強いとしてアルカイダ系組織「ホラサン・グループ」の拠点を標的にしたことがある。
オバマ米政権はISIS制圧でシリア反体制派の穏健派勢力への武器や訓練支援を打ち出しているが、計画は順調には進んでいない。訓練に参加する戦闘員の身元調査に手間取っていることなどが一因となっている。訓練などを終えた穏健派勢力の戦闘員が地上戦に投入された例はこれまでないという。
穏健派勢力への武器支援計画などは、シリアのアサド政権による民間人への化学兵器攻撃が発覚した1年前に浮上した。しかし、オバマ政権が計画を承認したのは今年6月で、ISISがイラク内で支配地を拡大する状況への対応策を迫られた結果となっていた。