複雑すぎる米国の投票システム 有権者が知っておくべきこと
なぜ大統領選は多額の費用がかかるのか
大統領選に金がかかる理由の一つは、戦いがあまりに長期に渡るということだ。大統領選の候補者が選挙運動を開始できる時期について規定のある国もあるが、米国にはそのような規定はない。そのため、共和党候補のテッド・クルーズ氏が正式に立候補を表明したのは、大統領選の約1年8カ月前の2015年3月だった。
また米国には、一部の国のように候補者が選挙にかける費用についても上限を設けていない。そのため大統領選の選挙戦には最高10億ドル(約1130億円)の費用がかかる可能性もある。しかも、この費用には外部の組織・団体が使う資金は含まれていない。また2年以上に渡る遊説の費用、テレビ広告費、選挙運動員の給料も決して安くはない。
党員集会と予備選挙の違い
民主、共和両党の候補者選びは、まず各州で一般党員の代理人となる代議員を選ぶ。この代議員を選ぶ方法には、予備選挙と党員集会の2種類がある。
「予備選挙」は、一般人がイメージする「選挙」に近く、有権者は近所の投票所に行って、自分が支持する候補者に投票する。
それに対し「党員集会」は、各地区の住民が集まり、数時間の議論を経て支持する候補者を確定する。党員集会は、会場の規模にもよるが、通常は夕方、住宅や公共の場で行われる。