トランプ氏が「捜査中止を要請」 解任のFBI長官がメモ
(CNN) 昨年秋の米大統領選にロシアが介入したとされる疑惑をめぐり、トランプ大統領が今年2月、コミー連邦捜査局(FBI)長官(当時)に、側近のフリン前大統領補佐官に対する捜査を中止するよう要請していたことが、コミー氏の当時のメモから分かった。
米紙ニューヨーク・タイムズが最初に報じた。情報筋がCNNに語ったところによると、コミー氏はメモの中で、2月14日にホワイトハウスでトランプ氏に直接、フリン氏の件から手を引いてほしいと言われたことを明かしている。
フリン氏は、昨年末に就任前の立場でありながらオバマ政権の対ロ制裁について駐米ロシア大使と協議したうえ、その事実をペンス副大統領らに隠していたことが明るみに出て、2月13日に辞任した。FBIはトランプ陣営とロシアとのつながりに関する捜査の一環として、同氏に対する調べを進めていた。
コミー氏によれば、トランプ氏はその場にいたペンス氏とセッションズ司法長官に席を外すよう指示したうえで、コミー氏に「フリン氏はいい人物だ。何も悪いことをしていない」などと語り、捜査の打ち切りを要請した。
コミー氏はこれに驚き、トランプ氏が捜査を阻止しようとしているとの懸念を抱いたため、メモに記録してFBI高官らに見せたという。同情報筋によれば、コミー氏はトランプ氏とのほかの会話などについても複数のメモを残していた。
この報道を受け、専門家からは「司法妨害にほかならない」との声が上がっている。1970年代のウォーターゲート事件では、当時のニクソン大統領がFBIに捜査中止を命じたとして司法妨害などの罪に問われ、弾劾(だんがい)訴追されたとの指摘もある。