米、ユネスコ脱退を表明 反イスラエルなど理由に
ワシントン(CNN) 米国務省は12日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)からの脱退を発表した。ユネスコのイスラエルに対する偏見や、加盟国としての滞納金増大を理由に挙げている。
国務省のナウアート報道官は、ユネスコから脱退してオブザーバー国としての関与を模索する意向をボコバ事務局長に伝えたと発表。脱退の理由として、「ユネスコの分担金の増大、組織の抜本的な改革の必要性、反イスラエル的な偏見に対する米国の懸念を反映した措置」と説明した。
イスラエルのネタニヤフ首相も、ユネスコからの脱退を計画していると発表した。米国の脱退表明を「勇気ある道徳的決断」と評価する一方、ユネスコについては「馬鹿げた劇場と化し、歴史を保全する代わりにゆがめている」と批判している。
米国は2011年、ユネスコがパレスチナの正式加盟を承認したことを受けて分担金の拠出を停止。国務省によると、滞納金はおよそ5億5000万ドル(約600億円)に膨らんでいる。
ヘイリー米国連大使も、「残念ながら極端な政治化が慢性化している」とユネスコを批判。特に「マクペラの洞窟」が世界遺産に指定されたことを「長きにわたる愚かな行為の直近の事例」としてやり玉に挙げた。
マクペラの洞窟は今年7月、米国とイスラエルの反対を押し切って、ヨルダン川西岸にあるパレスチナ自治区のヘブロン旧市街とともに、ユネスコの世界遺産に指定された。同地はユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地とみなされている。
国連のグテーレス事務総長は、米国のユネスコ脱退表明に対して遺憾を表明した。