(CNN) ロシアによる米大統領選介入疑惑を捜査するマラー特別検察官が、ロシアのプーチン大統領と親しい関係にある富豪に事情聴取したことが9日までに分かった。この人物の関連会社がトランプ氏の個人弁護士だったマイケル・コーエン氏に数十万ドルを支払っていた件について質問したという。事情に詳しい関係者がCNNに語った。
聴取を受けたのはロシアの複合企業、レノバ・グループのビクトル・ベクセリベルク会長。トランプ政権が先月、ロシアの選挙介入などを理由に制裁対象とした人物のリストに名前が挙がり、米国への渡航を禁止されていた。コーエン氏への支払いの目的や、同氏とのビジネス上の関係は明らかでない。
コーエン氏は今年2月、トランプ氏とかつて不倫関係にあったとされる元ポルノ女優、ステファニー・クリフォードさんに13万ドルの口止め料を払っていたことを認めて注目を集めた。連邦検察は先月、マラー氏の照会などに基づき、同氏の自宅と事務所を家宅捜索している。
ベクセリベルク氏への聴取からは、マラー氏らのチームがロシア疑惑捜査の一環として、コーエン氏のビジネス上の人間関係に注目していることがうかがえる。
コーエン氏は大統領選の前にダミー会社を設立し、クリフォードさんへの支払いに使ったとされる。クリフォードさんの弁護士によると、昨年1月から8月の間に、ベクセリベルク氏の親類の米国人、アンドリュー・イントレーター氏が経営するレノバ系列の米企業から、このダミー会社の口座へ50万ドルが振り込まれた。
イントレーター氏はトランプ氏が大統領に就任した後、総額約30万ドルの献金をした記録がある。マラー氏はこの献金についても、ベクセリベルク氏から事情を聴いたという。
系列会社は声明で、コーエン氏を昨年からコンサルタントとして雇っていたと説明。ベクセリベルク氏がコーエン氏への支払いのために同社を使ったという説は間違いだと主張した。
ベクセリベルク氏はトランプ氏の就任式にもゲストとして出席していた。米紙ニューヨーク・タイムズによると、式典のチケットはイントレーター氏が渡したという。