米太平洋軍、「インド太平洋軍」に改称 中国との緊張高まる中
(CNN) マティス米国防長官は30日、ハワイで行われた太平洋軍司令官交代式で演説し、太平洋軍の名称を「インド太平洋軍」に変更すると明らかにした。南シナ海の軍事化をめぐり中国との緊張が高まる中での動きとなっている。
マティス氏は演説で、「インド洋と太平洋の連結性が増していることに鑑み、きょう米太平洋軍をインド太平洋軍に改名する」と表明。同軍については、米西岸からインドまでの広大な地域と密接なかかわりを持つ「主要な戦闘部隊」と評した。
この日まで太平洋軍司令官を務めてきたハリー・ハリス氏は、トランプ大統領から駐韓大使に指名されている。インド太平洋軍の指揮には、ハリス氏に代わりフィリップ・デービッドソン海軍大将が当たることになる。
米当局者は今回の改称について、太平洋軍の管轄地域をより正確に反映する狙いがあると指摘した。太平洋軍の管轄地域は太平洋とインド洋のほか、国単位では36カ国に及ぶ。
米国はかねて防衛協力などの分野でインドとの連携を強化してきた。米印両政府は、中国軍の姿勢が積極性を増しているとみて、いずれも懸念を表明している状況だ。
南シナ海ではこのところ、米中両軍による一連の行動を受けて緊張が増している。
米当局者によれば、中国軍はこの数カ月で、対艦ミサイルや地対空ミサイルシステム、電波妨害装置を南シナ海スプラトリー(中国名・南沙)諸島の係争地域に配備した。また先日には、核を搭載可能なH6K爆撃機をウッディー(永興)島に初めて着陸させている。
これを受け、米国は環太平洋合同演習(リムパック)への中国の招待取り消しを決定。27日には、ウッディー島など領有権が争われている島嶼(とうしょ)の近くで海軍艦船2隻を航行させていた。