トランプ氏の非常事態宣言、下院が無効化の決議案を可決
(CNN) トランプ米大統領がメキシコ国境の壁建設費用を確保するため、今月14日に出した非常事態宣言に対して、米下院は26日、宣言を無効とする決議案を可決した。
野党・民主党が多数を占める下院での採決は、民主党の全議員に加えて与党・共和党の3人が賛成に回り、決議案は賛成245、反対182で可決された。
続いて共和党が多数を占める上院での審議に移るが、上院指導部はすぐには採決にかけない構えを示している。共和党のマコーネル上院院内総務は26日の記者会見で、上院が休会に入る来月18日の週までには採決を行うとの意向を示した。
上院では共和党から4人以上が賛成票を投じれば通過する計算だ。すでに同党の議員3人が決議案への支持を表明している。
決議案が上院でも可決された場合、トランプ氏は拒否権を行使すると表明している。ホワイトハウスは26日、拒否権発動を正式に予告した。
大統領の拒否権は上下両院の再審議で3分の2以上の賛成があれば覆されるものの、今のところその可能性は低く、決議は最終的に不成立となることが予想される。
ただトランプ氏の非常事態宣言をめぐっては、共和党議員の間でも「将来に悪い前例を残し、民主党の大統領が議会を無視する口実に使われかねない」との懸念が指摘されている。宣言自体の合法性を疑問視する声もあり、マコーネル氏も最終的な結論には達していないと発言している。
トランプ氏は25日、共和党の上院議員らに向けたツイートで「強い国境なくして国はない。有権者は我々の味方だ」「国境開放と犯罪につながる民主党の『わな』にはまるな」と呼び掛けた。