火災現場のビル伝う「スパイダーマン」、母を救うためだった 米
(CNN) 米ペンシルベニア州フィラデルフィアの19階建て集合住宅で起きた火災で、現場のビル外壁を伝って降りる姿が目撃され、「まるでスパイダーマン」と話題になった男性。本人がこのほどマスコミの取材に応じ、実はこのビルに住む母親を救おうと、15階までよじ登っていたことを明らかにした。母親は無事だった。
CNN系列局のWPVIによると、この男性、ジャーメーンさん(35)は18日夜、母親の住む集合住宅で火災があり、母親が脱出できなくなっていることを、家族からの電話で知らされた。
すぐ現場に駆け付けて正面玄関から入ろうとしたが、警察に制止された。「だから自分でやることにした。だって自分の母親だから」とジャーメーンさんは言う。
この日は別の場所で尻にけがを負っていた。しかしそれをものともせず、バルコニーを伝ってビルの外壁をよじ登り始めた。
気がかりだったのは自分のことより母親のことばかりだったとジャーメーンさんは振り返る。「母はベッドから出ることも、歩き回ることもできない。火災が起きたら助けが要る」
無事に母親の部屋にたどりつくと、火災は鎮圧されたのでもう大丈夫だと母親から告げられた。「母は私がやったことに驚かなかった。私がきっと来てくれると知っていたから」とジャーメーンさんは語る。
WPVIによれば、出火元はごみ圧縮装置だったと思われる。この火災で消防士3人を含む7人が煙を吸って手当てを受けた。
ジャーメーンさんはよじ登った時と同じように軽々と、ビルの外壁を伝って地面に下りた。この様子が撮影され、インターネットで広く共有された。
警察に逮捕されることも覚悟していたというジャーメーンさんだが、「警官は状況を理解して大目に見てくれた」と話している。