イラン司令官殺害 「差し迫った攻撃」から「抑止戦略」へ説明が変化
ワシントン(CNN) 米軍がイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害した理由について、バー司法長官とポンペオ国務長官はそれぞれ13日、「抑止戦略の一環だった」との立場を示した。トランプ米大統領らはこれまで、「差し迫った攻撃」を阻止するための作戦だったと主張してきた。
バー氏はこの日の記者会見で、「差し迫った脅威の情報は確かにあったと思う」と述べる一方、その筋立ては人々の注意を引き付けるおとりのようなものだったと発言した。
合衆国憲法第2条によれば、米大統領は差し迫った脅威に対して自衛する場合、議会の承認なしに軍事行動を起こすことができる。しかしソレイマニ司令官の殺害については、脅威が迫っていたとの具体的な証拠や緊急性の度合いが明示されていないため、作戦の法的根拠が疑問視されてきた。
バー氏は会見で、米国を狙った攻撃が繰り返し起きている状況では「次にいつ、どこで次の攻撃があるかを正確に把握している必要はない」と主張。オバマ政権下でテロ組織の指導者らを殺害した無人機作戦も、同様の根拠で実行されていたとの見方を示した。
ただしCNNの法律専門家らによると、オバマ大統領は実際には憲法上の権限でなく、2001年の米同時多発テロ後に議会で承認された対テロ武力行使の権限を根拠にしていたとされる。
バー氏はさらに、司令官殺害は米国が受けていた攻撃をやめさせるための合法的な自衛行為だったと強調。米国はこの作戦によって抑止力を取り戻し、暴力のエスカレートを避けることができるとの確信があったと説明した。
ポンペオ氏も同日、スタンフォード大学フーバー研究所での講演でイランに対する「抑止戦略」に言及。米政権は「抑止の再構築」を図っていると強調し、司令官殺害作戦はその文脈で説明できるとの立場を示した。