新型コロナ感染の父と通話30時間 臨終に寄り添ったきょうだい
(CNN) 新型コロナウイルス感染症で入院し、危篤状態に陥った父が息を引き取るまで、4人の子どもたちが電話越しに30時間以上、寄り添い続けた。きょうだいの1人、アビー・アデア・ラインハートさんが、その体験をCNNに語った。
新型ウイルスに感染した多くの患者と同じく、アビーさんの父ドン・アデアさん(76)は面会を禁止され、家族が臨終に立ち会うことも許されなかった。
しかし看護師がドンさんの枕元に置いてくれた病院の電話で、4人きょうだいがデンマークと米テキサス、ノースカロライナ、ニューヨーク州から最期を見届けたという。
30時間を超えた通話は「天からの大きな恵みだった」と、アビーさんは語る。
4人は思い出話をしたり、かつて家族で囲んだキャンプファイヤーでドンさんがギターを弾いた曲をみんなで歌ったりした。ドンさんはもう話すことができなかったが、電話口で息をする音が聞こえた。
きょうだいは時々うたた寝をしながらも、目覚めるとまた「私たちがついている」と父に呼び掛け続けた。
ドンさんは生前、弁護士として人助けに奔走し、地域活動にも熱心に取り組んでいだという。
アビーさんは「父とのお別れを覚悟して、言うべき言葉を伝えることができた」「顔を見ることも手を握ることもかなわなかったけれど、電話でつながったのは本当に貴重な時間だった」と語った。