黒人トランスジェンダーへの暴力に抗議、全米で集会
ニューヨーク(CNN) 米ニューヨーク市など全米で14日、黒人トランスジェンダーへの暴力に抗議して公正な扱いを求める「ブラック・トランス・ライブズ・マター(黒人トランスジェンダーの命は大切)」集会が開かれた。
ニューヨーク市では、黒人のトランスジェンダー活動家ラケル・ウィリスさんがブルックリン博物館のデッキに立ち、集まった数千人で声を合わせて「私は自分の力を信じる」「あなた方の力を信じる。私たちの力を信じる。黒人トランスジェンダーの力を信じる」と声を上げた。
今回の抗議デモの発端は、ペンシルベニア州フィラデルフィアの黒人トランスジェンダー女性ドミニク・フェルズさん(27)と、オハイオ州シンシナティのリア・ミルトンさん(25)が数日前に殺害されたことだった。
人権団体によると、トランスジェンダーやジェンダー・ノンコンフォーミング(既存の性別に適合しない人)が殺害された事件は、この2人を含め、2020年に入って14件に上る。しかし、トランスジェンダーの死者数は過少集計されている可能性が大きいという。
全米の抗議運動は、黒人男性ジョージ・フロイドさんの死をきっかけとする「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切)」運動が世界で続く中で行われた。
ニューヨークの集会にはトランスジェンダーの人やジェンダー・ノンコンフォーミングの人などが参加。失われた命をいたみ、正義と公正な扱いを求めて声を上げた。
フェルズさんやミルトンさんのように、殺害されたトランスジェンダーのほとんどは黒人女性だった。人権団体によると、2019年に殺害されたトランスジェンダーおよびジェンダー・ノンコンフォーミングの人のうち、91%を黒人女性が占め、81%は30歳未満だった。
CNN系列局KTLAによれば、カリフォルニア州ロサンゼルスでも14日、「オール・ブラック・ライブズ・マター」の抗議運動が展開され、推定2万5000人がハリウッドをデモ行進して、警官によって射殺された黒人トランスジェンダーのトニー・マクデードさんを追悼した。