手足縛られ頭が床に、パトカー内で助け求める女性の映像公開 米
(CNN) 米コロラド州オーロラで、警察に拘束された黒人女性が両手両足を一緒にして背中で縛られた格好でパトカーに乗せられ、床に逆さまに転落した状態のまま、約21分間放置される事件があった。
この事件で免職処分となった警官が、処分に対して不服を申し立てた審理がこのほど行われ、オーロラ警察はパトカーの車内を映した映像を公開した。
事件が起きたのは2019年8月。リーバイ・ハファイン元警官は今年2月に免職処分となり、不服を申し立てた裁判の審理の中でこのほど、女性の訴えに耳を傾けなかったことを「非常に後悔している」と証言した。
ボディーカメラの映像には、女性が手錠をかけられてパトカーに乗せられる様子が映っている。車内での女性は両手両足を一緒にして拘束帯で縛られていた。
映像には複数の警官が、女性がパトカーから逃げようとしたと話す声が収録されている。
CNN系列局のKCNCによると、女性はシャティーアン・ケリーさん(28)。オーロラ警察が公式サイトに掲載した証拠書面によると、21分間にわたって繰り返し助けを求め、「こんな死に方はしたくない」と訴えていた。警察に拘束されたのは、けんかにかかわった疑いが持たれたためだった。
ハファイン元警官は、車を止めることも、後部座席の女性の状態を確認して安全な位置に戻すこともしなかったとされる。
映像の中の女性は、両手両足を縛られてうつ伏せの状態で後部座席に乗せられていた。約3分後、女性の体は座席からずり落ち、顔面が床に押し付けられた格好で身動きできなくなっている様子だった。
「頭が折れそう、首が折れそう。私を起こして。息ができない、息ができない、どうか助けて、どうかどうか私を助けて」。女性は床の上で叫び続けていた。
数分後には「痛い、もっと急いで。ものすごく痛い、ものすごく痛い!」と叫び、2分後にはやや小さな声で「どうか急いで、首がものすごく痛い、首がものすごく痛い。今、座席の下で押しつぶされてる。起こしてもらえたら本当に助かります」と訴えていた。
パトカーが留置場に到着すると、女性警官が車のドアを開けて「なぜこんな状態で頭を下にしているの?」と声をかけ、女性を車から降ろそうとし始めた。
数分後に車のドアを閉めた女性警官が、ハファイン元警官に向かって「全然心地よさそうに見えないけれど」と問い詰めると、ハファイン警官は「彼女は座席にいたけれど、自分で転がりたいと思ったんだ」と言い返していた。
オーロラ警察はハファイン元警官を免職処分とし、ハファイン元警官はこの処分に対する不服申し立てを行った。
このほど行われた審理の中でハファイン元警官は、「今から振り返ってみると、私は自分が続けたこと、あの選択をしたことをとても後悔している。しかし女性があのような状態にあるとは知らなかった。申し訳ない。あれは過ちだった。けれど私は女性が後部座席で逆さまになっているとは見当もつかなかった」と主張した。
ハファイン元警官の免職処分を支持するか、あるいは復職を認めるかの判断は、後日言い渡される。
ケリーさんはコロラド州デンバーのテレビ局KDVRの取材に対し、「動物だってあんな扱いを受けるいわれはない。私は地面の土ぼこり以下の扱いを受けた」と訴えた。