バイデン政権のコロナ対策法案、超党派での可決目指し駆け引き
(CNN) バイデン米大統領は、自ら打ち出した1兆9000億ドル(約200兆円)規模の新型コロナ対策法案について、引き続き超党派での成立を目指す方針だ。しかしホワイトハウスの当局者は、法案の規模を削減して共和党の支持を確保する必要があると内々に認めている。共和党の議員らは、法案の規模に難色を示していた。
ホワイトハウスが法案の規模をどこまで引き下げる意向なのか、またそれによって共和党の支持が取り付けられるのかどうかは不明。さらにこうした現実を踏まえて、バイデン政権の当局者や民主党の議員らは超党派での成立にこぎつけられるとの見方に一段と懐疑的になっている。
複数の有力な共和党上院議員も、ホワイトハウスが超党派での法案成立を真剣に考えているのかどうか疑問を投げかけている。
コロナ対策法案を通常の立法手続きで通すには、民主党の上院議員50人全員に加え共和党の上院議員10人が賛成に回る必要がある。そうなれば他の共和党議員の反対があっても法案を可決できる。
バイデン氏は超党派での成立が望ましいと繰り返し訴えてきたが、側近らは経済的な救済措置が直ちに必要な状況だと強調。上院で新たに多数派となった民主党議員も、通常と異なる「調整(reconciliation)」と呼ばれる手続きの活用を検討している。その場合は、党の方針に沿った法案の主要部分を詰め込んで、可決に持ち込むことが可能になる。
バイデン氏が救済策の規模を1兆9000億ドルより引き下げることを検討する意向も示す一方で、ホワイトハウスの当局者は法案の分割には関心がないことを明言した。これは法案の一部を超党派で可決した後、残りの部分を別のパッケージとして「調整」を通じて通す措置を意味する。
サキ大統領報道官はツイッターで、国民のニーズは食糧確保の必要性からワクチン接種、学校再開に至るまで急を要するものばかりだと指摘。「こうした課題は党派の問題ではない。我々は幅広い声と関りを持つ。民主主義が機能しているとはそういうことだ。救済パッケージの2分割は考えていない」と述べた。
28日、ホワイトハウスで新型コロナ対策法案を通すには法案の分割が必要になると思うかと問われたバイデン氏は、記者団に対し笑顔を浮かべながら「私に何かをしろと言ってくる人は誰もいない」と返した。
サキ報道官は同日の会見で、「大統領はこれが超党派のパッケージになることを望んでおり、仕組みは問題にしていない」「仮に『調整』の手続きを活用するとしても、共和党はパッケージへの賛成票を投じることができる」と強調した。