存命の4人の元米大統領、ワクチン接種促すCM出演 トランプ氏は出ず
ワシントン(CNN) 存命の米大統領経験者のうち、トランプ氏を除く4人が出演し、新型コロナウイルスワクチンの接種を呼びかける公共広告のテレビ放映が11日、始まった。ワクチンに対する疑念を払拭(ふっしょく)する狙いがある。
出演したのはカーター、クリントン、ブッシュ(子)、オバマの各元大統領夫妻。広告は2種類あり、長い1分間のものは各夫妻が接種を受ける様子を見せるもの。30秒の短いバージョンはクリントン、ブッシュ、オバマの各氏がアーリントン墓地の施設に3人で立ち、ワクチン接種を呼びかける内容となっている。
1分間の広告では、ブッシュ氏がワクチンが「すぐに皆の手に届く」と述べ、オバマ氏がワクチンは「希望」で「あなたとあなたの愛する人を守る」と続ける。その後、コロナ禍で失ったものに言及し、クリントン氏は「仕事に戻り、動き回りたい」、オバマ氏は義母を「誕生日にハグして会いたい」、ブッシュ氏は「テキサス・レンジャースのスタジアムで開幕戦に参加したい」と語った。
96歳のカーター氏はカメラの前では話さなかったが、自分が接種を受けるのは「この流行をできる限り早く終わらせたいからだ」との音声が流れた。
トランプ氏の参加について、事情に詳しい関係者によると、任期末期に大統領経験者らと疎遠な状況となっていたことや、バイデン大統領の就任式に出席せずワシントンを離れた経緯から、話題にあまり上がらなかったという。
ワクチン接種のキャンペーンの話は、大統領就任日の1月20日にクリントン、ブッシュ、オバマ氏の間で交わされた会話から進んだ。本プロジェクトに近い人物は、トランプ氏が就任式に参加しない決断をしたため、広告への参加を依頼されることもなかったと語る。
この広告は米広告協会が作成した。広告の作成チームはトランプ氏の参加はなさそうだと見て、参加の機会は遠のいた。ある大統領経験者の側近は、こうした時に「参加したいというサインがいっさいなかった」とも語った。
トランプ氏の広報担当に参加しなかった理由を尋ねたが返答はない。
トランプ氏は放映が始まる前日の10日に、1月にワクチン接種を受けていたことを認める声明を出している。