感染状況悪化の米テキサス州、ICUの不足に直面 州保健省が警鐘
(CNN) 今夏の新型コロナ入院患者の急増で米テキサス州が深刻な影響を受けている。知事がマスク着用義務化などの措置に反対の意向を表明する中、州内の病院は重症化した患者の収容能力が限界に達しようとしている。
テキサス州保健省は同州の現状について、コロナ禍と対峙(たいじ)して以降「最も苦しい部類の戦い」を強いられていると説明。今月に入り、予備的な措置として遺体安置用の冷凍車を複数手配したことを明らかにした。
州の集計によると18日時点での新型コロナ入院患者数は1万2400人以上。11日の1万791人から増加した。保健省は病院の収容能力が悪化の一途をたどっているとしたうえで、死者数の増加にも拍車がかかっていると述べた。
集中治療室(ICU)も数が足りない状況だ。医療従事者は必死に他の病院への移送といった措置を試みているが、移送先でもICUは埋まっているケースがあるという。
CNN提携局KWTXの取材に答えた看護師長の1人は、ICUの空きを探してテキサス中の病院に電話をかけると説明。ルイジアナやニューメキシコなど近隣の州に問い合わせることもあると話す。
スタッフの中には僻地(へきち)の病院で働いている間に身内や友人を新型コロナで亡くした人もいる。ICUの空きを待っている数日間で息を引き取る人が多くいるという。
州保健省は住民に対し、新型コロナワクチンを打って感染者数増加に歯止めをかけるよう呼び掛ける。現在州内のICUは322床しか空きがないとしている。
州の集計では、接種資格のある州民のうち少なくとも1回の接種を受けているのは全体の約66%。54.7%は接種を完了している。米疾病対策センター(CDC)がまとめる全国平均はそれぞれ70.2%と59.6%で、テキサス州はこれらをやや下回っている。
州保健省は「ワクチン接種を完了すれば、重症化や入院、死亡といったケースをほぼすべて防ぐことができる」と強調した。