米大都市で警察署長の退任多発し39人に、頻度の高さに懸念
(CNN) 全米の大都市で警察署長の引退、辞任や解任が過去数年では見られなかった頻度の高さで起き、昨年1月以降では39人に達したことが14日までにわかった。
米国とカナダの大都市の警察首脳らで構成する組織「MCCA」の幹部が明らかにした。署長らの不在は刑事司法の改革努力や署内に長年根付く「組織文化」の変革の障害になり得るとの懸念も生じている。
これまで警察首脳が去った大都市はポートランド、ルイビル、ダラス、マイアミ、デトロイトやボストンなど。今年末までにさらに2人が辞職し、複数が来年初期に退く意向を示している。
MCCA幹部によると、警察署長の在任年数は3〜5年。内部改革などの実行には十分な期間だが、この年数が大幅に減っているという。米の団体「警察幹部研究フォーラム」(PERF)の幹部によると、警察署長の交代は通常で年間25%の割合となっている。
大都市の警察は過去20カ月間、遂行すべき任務の変更や組織文化の改善を迫るより強い圧力にさらされてきた。新型コロナウイルス禍、全米規模の凶悪犯罪の増加、白人警官による黒人の殺害、過剰な捜査手法や警官による人種差別行為への広範な抗議活動の発生が背景要因となっている。
連邦政府や司法当局も警察への監視を強めるため裁判所を通じて組織刷新を促す動きを見せている。司法省は今年になり、ミネアポリスやフェニックスなどの警察を対象に過度の捜査権限の行使に関する調査に踏み切った。
警察署長の辞任などには不祥事を含め様々な多くの理由がある。MCCA幹部は、組織の改変には時間がかかり、意味のない人事上の署長の入れ換えでどれほどの改革が果たし得るのかの問題もあると指摘した。
PERFの幹部は、人々は変化や新たなタイプの指導者を求めているがどのような指導者像かについては十分な定義がない。警察署の自省も増えているが、人材を内部に求めるのか外部で探すのかの大きな課題も抱えていると説明した。
署長ばかりでなく警官の退職者も増えている。PERFが今年5月に実施した調査によると、警官の引退は全米規模で45%増を記録。辞任は昨年比で約20%増だったという。