暗い色調の肌が出世を阻害、ラテン系米国人の多数が認識 根深い偏見が浮き彫りに
(CNN) ラテン系米国人の半分超が、自身の肌の色が社会の流動性によって得られるチャンスに悪影響を及ぼし、差別の標的にされていると考えていることが、4日に発表された米世論調査機関「ピュー・リサーチ・センター」による新たな研究で明らかになった。
今回の報告書は、今年3月にヒスパニック系の成人3300人超を対象にした調査に基づいており、米国における人種間の関係性に変化が表れている状況にラテン系米国人がどう対応しているかをつまびらかにしている。
大半のラテン系米国人は、学位を取得したり、合法的に居住したりすることが、ラテン系米国人が出世するに当たっての実力を助長したり、阻害したりする最も大きな要因だと述べた。その一方で半数超は、肌の色が人生に重大な影響を与えると考えている。
また回答者の約59%が、明るい肌の色は米国において出世するのに役立つとし、一方で62%が暗い肌の色はそれを阻害すると述べた。
調査の一環として研究者らは、回答者の自己認識について知見を深めるため、肌の色を10の度合いに分けた段階表を用意。自身の肌の色は明るいとした回答者は合計で80%だったのに比して、暗い色とした回答者は15%だった。
中南米の文化においては、肌の色に基づく差別「カラリズム」が長らく問題となっている。
ラテン系米国人の社会ではここ数カ月の間、カラリズムをめぐる話題が注目を集めた。今夏に公開された映画「イン・ザ・ハイツ」では、主役級に黒人系ヒスパニックの出演者がいなかったとして、プロデューサーが批判を浴びた。また今週には、この問題に取り組む作家たちのエッセーや詩を集めた書籍が出版されている。
同書の編集者で、作品を寄稿したホンジュラス出身の黒人作家サラシア・フェンネル氏はCNNの取材に対し、「黒さへの反感とカラリズムはラテン系米国人の社会を長らく分断してきたものだ。私たちの社会における、痛みを伴う一連の問題について、私たちはよりオープンに語るようになっているものの、依然として白さに熱いまなざしを向ける傾向がある人々もいる」と述べた。
暗い肌の色を持つラテン系米国人の64%が差別を経験
報告書の執筆者の一人である、ピュー・リサーチ・センターのアナ・ゴンザレスバレーラ上席研究員は、今回の調査結果は、ラテン系米国人の社会におけるカラリズムに関する分析としては、これまでに自身のチームが実施した調査の中で最も深く掘り下げた分析の一部をなすものと説明。
「ラテン系米国人の生活において(カラリズムは)しっかりと存在するもので、実際に影響を及ぼす重要なトピックだと思う」と語った。
報告書では、暗い色の肌を持つラテン系米国人は、明るい色の肌を持つ場合に比べて、差別される出来事を少なくとも1度経験する可能性がより高くなると指摘。
暗い色の肌を持つラテン系米国人の約64%は、差別のパターンとして挙げた8例の少なくとも1つを経験したことがあると回答している。調査で用いられた例には、「自国へ帰れ」と言われたこと、公の場でのスペイン語の会話を非難されたこと、侮辱的な名称で呼ばれたこと、ヒスパニック系もしくはヒスパニック系以外のどちらかから不正な扱いを受けたことが含まれる。
最も回答が多かった差別のタイプは、「まるで頭が悪いかのように扱われた」というものだった。