ランサムウェア集団摘発へ11億円の賞金、パイプライン攻撃で米国務省
(CNN) 今年5月に起きた米大手コロニアル・パイプラインに対するサイバー攻撃に関連して、米国務省は4日、ロシア語圏のランサムウェア(身代金ウイルス)集団の主犯格の特定や所在確認につながる情報に、最大で1000万ドル(約11億円)の賞金をかけると発表した。
コロニアル・パイプラインに対する攻撃には、「ダークサイド」と呼ばれるランサムウェアが使われた。国務省は、この攻撃に関与した共謀者の逮捕や訴追につながる情報にも、500万ドルの賞金をかけている。
バイデン政権は米国企業から多額の身代金を脅し取り、重要インフラを脅かしたサイバー犯罪集団に対する圧力を強めている。
国務省は2020年の大統領選挙前にも、外国政府の指示による選挙干渉を狙った「サイバー不法行為」に関与した人物の特定や所在確認につながる情報に、最大で1000万ドルを支払うと発表していた。
国務省の元高官クリストファー・ペインター氏は、「我々は持てる限りの手段を使う必要がある。このやり方は効果的で期待が持てる」と指摘する。
コロニアル・パイプラインの事件では、米東海岸への燃料供給が数日間にわたって停止し、複数の州でガソリンスタンドに長蛇の列ができた。
同社は使えなくなったコンピューターを復旧させるため、ハッカー集団に440万ドルを支払った。司法省は暗号資産を差し押さえることで、このうち230万ドルを回収している。
バイデン政権がロシアに対してサイバー犯罪行為取り締まりの圧力をかける一方で、米捜査当局は各国の捜査機関と連携してロシア以外の国で容疑者の行方を追っている。
10月には38歳のロシア国籍の男が、ランサムウェア集団にかかわった罪に問われ、韓国から米国に引き渡された。