米、ウクライナへ新たな兵器供与を検討 ロシア侵攻を懸念
(CNN) ロシア軍が国境線近くに兵力を集結させ緊張が高まっているウクライナ情勢で、バイデン米政権がウクライナへ軍事顧問の派遣や兵器を含む装備品の新たな供与を検討していることが25日までにわかった。
これら対応策の議論に通じている複数の関係筋がCNNに明らかにした。米政府当局者はロシア軍の新たな侵攻が起きる事態に備え、同盟国に警戒などを喚起しているともした。
ウクライナ側はロシアの動きに対応し、早ければ来年1月にも侵攻が起きる可能性を公に警告している。
関係筋によると、米国がウクライナに送る可能性がある兵器は対戦車ミサイル「ジャベリン」や対装甲車両ミサイル、迫撃砲など。スティンガーミサイルなどの対空防衛システムも候補とされる。
米国防総省は本来ならアフガニスタン向けとされていたM17型ヘリコプターをウクライナへ差し向けることも求めている。同ヘリはロシア製だが、アフガンへ回すため米国が購入していた。アフガン駐留米軍が完全撤退した後、同省はこのヘリの活用方法を模索していたという。
ただ、バイデン政権内にはスティンガーミサイルやヘリを供与すればロシア側が緊張を大きく高める措置と受け止めかねないとの懸念もある。軍事顧問の関連地域への派遣を準備しているものの行き先がウクライナになるのかは不明だともいう。
米軍の退役中佐はCNNの取材に、ロシア軍がウクライナをにらんだ戦力増強に動員しているT80型戦車に対しジャベリンは非常に有効と説明。その上でウクライナへの兵器などの追加支援はロシアとの対立をさらに高めるリスクが間違いなくあると指摘した。
ロシア大統領府のペスコフ報道官は、米国によるウクライナへの追加支援について「我々は否定すべきではない」とし、「軍事顧問派遣や兵器供給は既に起きており、米国だけでなく他の北大西洋条約機構(NATO)加盟国が実行している」と主張。対ウクライナ国境線におけるさらなる状況の悪化につながっていると続けた。