新型コロナの錠剤治療薬を初承認 米FDA
(CNN) 米食品医薬品局(FDA)は22日、米ファイザーが開発した新型コロナウイルス感染症に対する錠剤タイプの抗ウイルス薬「パクスロビド」の緊急使用許可(EUA)を出した。
患者が自宅で服用可能な新型コロナ抗ウイルス薬としては初の許可例となる。重症化して入院する前の服用が想定される。
対象者はリスクの高い12歳以上、体重88ポンド(約40キロ)以上で新型コロナ検査で陽性となった人。利用には医師の処方が必要となる。
FDAの声明によると、新型コロナ感染の診断後できる限り早く、発症後5日以内の服用開始が求められている。
パクスロビドは新しい抗ウイルス薬「ニルマトレルビル」と既存薬「リトナビル」を併用したもので、3錠を5日間1日2回服用する。
ファイザーは先週、ハイリスクの成人に対して発症後数日以内に投与したところ、入院や死亡のリスクが89%減ったとする新たな結果を公表した。発症から5日以内に投与の場合の有効性もほぼ同じ88%だった。
ファイザーのブーラ会長兼最高経営責任者(CEO)は声明で「この画期的な治療法が新型コロナの治療方法を変え、我々の医療、病院システムにかかる重圧の一部を和らげる助けとなることを願う」と述べた。
米政権は先月、治療1000万回分を52億9500万ドル(約6000億円)で購入すると発表。バイデン大統領はファイザーからの有望なデータに勇気づけられたと発言していた。
FDAはパクスロビドは新型コロナウイルスの暴露前または暴露後の感染予防薬ではないと強調。追加接種を含むワクチン接種の対象者にとって、接種の代わりにはならないと述べた。
米メルクも抗ウイルス薬「モルヌピラビル」のEUAを申請しているが、まだFDAからの許可は出ていない。ハイリスクの成人に対して入院や死亡のリスクを30%減らす結果に対し、FDAの諮問委員会では13対10と僅差(きんさ)での推奨となった。当初の分析では同リスクを約50%減らすとされていた。
FDAが既に承認している唯一の新型コロナの抗ウイルス治療薬「レムデシビル」は静脈に投与されるもので、家庭で服用可能な錠剤タイプではなかった。