間一髪、線路上の機体からパイロット救出 直後に列車が通過 米ロサンゼルス
(CNN) 通勤列車が猛スピードで迫って来る。線路上に墜落した小型機に駆け寄る警官。機内にはまだ、血まみれのパイロットが取り残されていた。
「ゴー、ゴー、ゴー!」。警官たちはそう叫びながら、意識がもうろうとした様子のパイロットを機体から引きずり出した。
その4秒後、メトロリンクの列車がけたたましい警笛とともに、線路上の機体を引き裂いて通過した。米カリフォルニア州ロサンゼルス近郊で現地時間の7日午後に起きた事故。警官のボディーカメラが一部始終をとらえていた。
この救出劇にかかわったロサンゼルス警察の警官3人が10日、CNNの取材に応じ、現場の出来事を振り返った。
「同僚が私の後ろで『列車が来る。今すぐ脱出させなければ』と言う声が聞こえた」。クリストファー・アボイテさんはそう語る。「私は振り向いて列車を見ることはしなかった。ただパイロットを脱出させて機体から引き離すことに集中した。地面には航空機の燃料が大量に流出していた」
ダミアン・カストロさんは「あまりに急な展開だったので、考える時間はほとんどなかった」「この男性を安全に避難させることしか考えられなかった。振り返って列車がどこまで接近しているか見たいとは思わなかった。列車が来る音は聞こえていた」と話している。
ジョセフ・カベスタニーさんは救出劇の映像を見て、「とても現実とは思えない」とつぶやいた。
パイロットのその後の容体は不明だが、アボイテさんによると、現場では頭痛を訴えていた。意識はあって話もできる状態で、状況をはっきり認識していたという。
「間一髪だった。全員が無事だったことにただ感謝している」「本当に信じられない」とカストロさんは胸をなでおろした。
カベスタニーさんは「今回の出来事はたまたま複数のカメラがとらえていた。しかし私たち警官は日々、こうしたことに全力を尽くし、プロフェッショナルとして職務に対応している」と強調する。
米連邦航空局(FAA)によると、墜落したのはセスナ172型機で、搭乗者はパイロット1人だけだった。地上で負傷者が出たという報告は入っていないとしている。
ロサンゼルス消防局によると、パイロットは近くの病院に運ばれた。けがの程度は発表されていない。
警察によると、小型機は近くにあるホワイトマン空港を離陸後、動力を失って線路上に墜落した。FAAと国家運輸安全委員会(NTSB)は墜落の経緯などについて調査に当たる。