米共和党議員、即座にトランプ氏を擁護 FBIによる別荘の捜索受け
(CNN) 米連邦捜査局(FBI)が大統領文書の取り扱いを巡る捜査の一環としてトランプ前大統領の別荘「マール・ア・ラーゴ」を捜索したことを受け、共和党議員の幹部らがトランプ氏の擁護に回っている。
連邦議会下院のケビン・マッカーシー院内総務はガーランド司法長官に対して、「文書を保管し、予定を空けておく」よう告げた。中間選挙で共和党が下院の多数派を奪い返した時には、監視・精査を行うとの警告だ。
「司法省は容認しがたい水準にまで政治を武器化した」(マッカーシー氏)
下院の共和党議員は9日、電話会議でFBIの捜査について短く話し合った。複数の情報筋がCNNに明らかにした。複数の幹部議員は司法省からの回答と徹底した説明を求める姿勢を明確に打ち出したという。
当該の電話会議は本来、12日に下院で採決される予定のインフレ抑制法案について話し合うために設定されていたもので、マッカーシー氏のほか下院司法委員会の党トップ、ジム・ジョーダン氏、同情報委員会の党トップ、マイク・ターナー氏らが参加した。
彼らは繰り返し説明責任を求めたものの、下院で多数派を握った場合の具体的な監視計画については示唆しなかった。
トランプ氏も同日、ジム・バンクス議員が率いる下院共和党調査会のメンバー十数人程度との会合をニュージャージー州ベッドミンスターの自宅で設定した。彼らの計画に詳しい人物が明らかにした。
CNNが7月に実施した世論調査によれば、共和党支持並びに共和党寄りの有権者の過半数は、2024年の大統領選でトランプ氏が同党の指名を獲得するのを望んでいない。それでも前大統領の党内での影響力は依然として強く、今年の中間選挙に臨む各地の共和党候補者は、トランプ氏の推薦を求めている。6日には、テキサス州で開催された保守派の大規模イベント「保守政治活動会議(CPAC)」での非公式の模擬投票で、トランプ氏が圧勝する結果が出た。
トランプ氏周辺に集まる多くの共和党議員は、FBIによる捜査の報道を受け、むしろ民主党を攻撃している。バイデン氏の方こそ捜査対象にしなくてはならないと主張する議員もいる。
下院の党指導部に名を連ねるニューヨーク州選出のエリーズ・ステファニク下院議員は、「直ちに調査と説明責任が必要なのは、ジョー・バイデンとその政権の方だ。彼らは司法省を武器にして、自分たちの政敵に向かわせている。24年の米大統領選で共和党から出馬する可能性のある人物に」と述べた。
前出のターナー氏はFBIのレイ長官に対し、「即時の状況説明」を要求。今回の行動は「前代未聞」で、ターナー氏自身はトランプ氏所有の資料について「いかなる国家安全保障上の脅威ももたらしておらず、またその疑いもないと認識している」と主張した。
24年の大統領選に出馬するとも目されるミズーリ州選出のジョシュ・ホーリー上院議員はバイデン氏を批判。「我が共和国を危険な水域へと導いた」としたうえで、ガーランド司法長官に対しては辞任もしくは弾劾(だんがい)を求めた。
マイク・ペンス前副大統領も、ガーランド氏にFBIの捜査に関する「完全な説明」を呼び掛けた。ツイッターへの投稿で、「前例のない捜査」を巡り、「多くの米国民の深い懸念を共有している」と述べた。
一方、ミッチ・マコネル上院院内総務は地元ケンタッキー州での記者会見でFBIの捜査に関するコメントを控えた。しかし数時間後の声明では、ガーランド氏に対して「直ちに」事態を説明するよう求めた。
民主党のナンシー・ペロシ下院議長は、出演したNBCの番組の中でFBIの捜査について、公になっていることしか知らないと繰り返し説明。そのうえで「我々は法の支配を信じている」と付け加えた。