トランプ氏、家宅捜索巡り提訴 押収書類の検査役の指定求める
(CNN) 米フロリダ州にあるトランプ前米大統領の邸宅「マール・ア・ラーゴ」が今月8日に家宅捜索を受けた件で、トランプ氏の弁護団は押収物からトランプ氏個人の文書の返還を確実にするため、証拠物の検証を監督する「スペシャルマスター」を選任するよう同州南部の連邦裁判所に求めた。
トランプ氏側が求めるスペシャルマスターには第三者の弁護士が就く。弁護団はまた、検証が終わるまで、証拠に関する捜査官の動きを止めるように裁判所に求めた。
この新たな訴訟は、家宅捜索後トランプ氏弁護団が起こした初の法的な対応となる。また、弁護団が一つの方針のもと団結しようと苦労する様子も浮き彫りとなっている。
トランプ氏はこの訴えの中で、憲法上の権利が侵害されたと主張し、秘匿特権対象の資料が押収された可能性があると述べている。
こうした動きにより刑事捜査が遅れる可能性がある。ただ、捜索に対抗する多くの機会を逸してきたトランプ氏弁護団にとって、今後の法廷闘争は困難なものとなる可能性がある。
司法省は「8月8日の捜索令状は、必要とされる相当な理由の発見に基づき連邦裁判所に許可された」として、訴えに対する答弁書を提出するとの声明を発表した。
トランプ氏弁護団は捜索令状の執行後すぐに裁判所で特段の姿勢を示さなかった。また、令状に関係する宣誓供述書の公開を巡っては、弁護士が出廷したものの議論に加わらなかった。
トランプ氏側は押収物のより詳細な受領書面も求めている。押収物33点を記した2通の受領書面には、トランプ氏の弁護士が捜索終了時に署名している。
先週裁判所が開示した文書によると、司法省はトランプ氏の邸宅から11組の秘密文書を押収した。その一部には最上級の秘密指定の分類となる「トップシークレット/SCI」のマークがあったという。
司法省は押収物を検証して秘匿特権の対象となるものを分けるため、内部の選別チームを利用していることを示唆している。期限切れのパスポートやトランプ氏の外交パスポートなど、捜査対象とならない私物を捜査官が返還する際に、選別チームへの言及があった。
司法省は裁判所への提出書面で、マール・ア・ラーゴから押収した証拠物は、国防資料を含む連邦記録の誤った取り扱いに関する刑事捜査の助けになるとの考えを示している。また司法妨害の可能性も捜査の対象としている。
CNNや米紙ニューヨーク・タイムズの報道によると、トランプ氏の弁護士は捜査官に書面で、6月以降マール・ア・ラーゴには機密文書は残っていないと伝えていた。連邦捜査局(FBI)は捜索終了時の押収品リストの中で、さらなる機密文書が回収されたと記している。