ホロコースト生き延びた姉妹が相次ぎ死去 アウシュビッツ収容、父の願いで米移住
(CNN) ナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)を生き延び、父親の夢をかなえて米国に移住したユダヤ人の姉妹が相次いで亡くなった。米アラバマ州ホロコースト教育センターが明らかにした。
同センターのフェイスブックによると、ルース・シューアー・シーグラーさん(95)は今月3日に亡くなり、姉のイルゼ・シューアー・ナータンさん(98)は10日前の8月23日に死去した。
姉妹は戦後米国に移住して、アラバマ州バーミンガムに落ち着いた。2人は仲が良く、共に自分たちの体験を語っていた。
2人はドイツで生まれ、両親と共に1939年までドイツで暮らしていたが、「水晶の夜」と呼ばれるユダヤ人排斥事件を受けて一家でオランダに逃れた。
44年1月、父親がドイツ人将校の前で脱帽しなかったという理由で逮捕され、一家全員がアウシュビッツ・ビルケナウ強制収容所に送られた。父親は最後に会った時、米国にいるいとこの住所を姉妹に伝えたという。父と母、兄弟は強制収容所で死亡した。
ロシア軍によって解放され、再びオランダに戻った姉妹は、米国への移住を望んだ父の願いを思い出して親類に連絡を取り、46年7月に米国移住を果たした。
2人とも結婚し、ルースさんは3人の子どもに、イルゼさんは2人の子どもに恵まれた。
ルースさんは、自分や何百万人もの人が味わった苦しみを決して忘れてほしくないという思いから、子どもや孫たちに向けた回顧録を残した。