米・メキシコの国境越える移民、死者数が過去最悪に
(CNN) 米・メキシコの国境地帯で死亡した移民の数が昨年10月以降で748人に達し、過去最悪を記録した前会計年度(2020年10月~21年9月)を約200人上回ったことがわかった。米国土安全保障省の関係者がCNNに明らかにした。
移民は国境を越える際に危険な地帯を渡り、砂漠の暑さや危険な川、国境の壁からの転落などに直面している。
今会計年度の終わりまで1カ月を残した時点で、昨年度の死者数557人を超えた。州や地元の当局が税関・国境警備局(CBP)に知らせずに遺体を回収している可能性もあり、実際の死者数はさらに多いとみられる。
先週には、米国とメキシコの当局がリオグランデ川での移民の救出作業中に8人の移民の遺体を発見した。
中南米諸国の情勢が悪化し、国境地帯に来る移民の数は増え続けている。移民の逮捕数も多い状態が続き、7月は逮捕件数が18万1000件に上った。
移民の死因の多くは高温にさらされたことだった。移民の支援団体は、トランプ政権が新型コロナ対策の一環で国境で移民を追い返したような政策が原因で、移民がより危険なルートを選ばざるを得ない状況にあると指摘する。
当局は1998年から国境地帯の死者数を記録している。2019、20会計年度にはそれぞれ300人、247人の死者が出て、死者数が大幅に増加する状況となった。
CBPは今年度の死者数に関するコメントを避けたが、密航業者が「自分たちの金銭的利益のために密入国させる個々人の命を無謀にも危険にさらし続けている」と述べた。
CBPによると、今年度は国境付近での捜索・救助活動が1万9000件近く行われ、昨年度の1万2833件から増えている。