中米3カ国から米への密航費、年22億ドル 大半は業者の懐に
(CNN) グアテマラなど中米3カ国の住民らが米国への移住の試みに支払っている年間の費用は推定で毎年22億米ドルに達し、大半は密航業者らの懐(ふところ)に入っているとの新たな報告書が27日までに公表された。
報告書の作成には米団体「移民政策研究所」、世界食糧計画(WFP)やマサチューセッツ工科大学(MIT)が参加。調査対象のほかの2カ国はホンジュラスとエルサルバドルで、これら諸国の数千規模の所帯の調査で過去5年に得たデータを基にした。
平均的な密航用の出費を割り出し、実際に移動した人数などを基にした推定データを算出した。米国への入国を求める動機や関連の費用などを詳細にわたって調べた。
報告書の発表に伴う声明でMITの准教授は、22億ドルは移民が自ら負担し、借金や個人的なリスクも背負っていると指摘した。
報告書によると、3カ国が米入国を目指し合法的な手段以外に支払う費用は毎年、約17億ドル。集団移動あるいは単独での試みには約2億3000万ドル要している。合法的なルートを通じた入国には約2億4000万ドルだった。
密航ビジネスに関する研究者たちは過去に、業界全体の規模を推定し、今回の報告書よりも高い出費額に言及していた。2018年の国連報告書では、メキシコあるいは米国への違法な送り出しを図る闇の商売は毎年約40億ドル規模ともしていた。
報告書によると、調査の対象者が密航業者に払った費用は約7500ドルとし、手数料に加え、食料や移動に必要な経費が含まれたとした。単独あるいは集団移動の場合の平均費用は2900ドルだった。
学生ビザ(入国査証)や難民としての移住など正規の入国手段を選んだ場合は4500ドルだった。
これら費用を支払っても米国入国に成功しなければ返済出来ない借金に直面する場合もあると付け加えた。