飲酒運転防止や自動速度制御装置、新車への搭載義務付けを勧告 米NTSB
(CNN) 独立した立場から事故調査を行う米連邦機関の国家運輸安全委員会(NTSB)は20日、増え続ける死亡事故を減らす目的で、速度制限装置や飲酒運転防止装置を新車に搭載することを勧告した。
昨年超党派の支持で成立したインフラ投資と雇用に関する法律では、3年以内に新車への飲酒運転防止技術搭載を義務付けることを運輸省に求めている。しかし、速度制御システムを奨励するNTSBの再勧告は、まだ連邦政府内で広範な支持を得ておらず、車両ではなく交通取り締まりによる速度制限に慣れた米国のドライバーの抵抗に遭う可能性もある。
NTSBの勧告は、飲酒運転検知の車載システムや、高度なドライバー監視システム、あるいはその2つを組み合わせて、ドライバーの飲酒運転を検知した場合に車両操作を阻止あるいは制限するシステムの搭載を全ての新車に義務付ける内容。実現のためには米高速道路交通安全局(NHTSA)の承認を必要とする。
NTSBは2017年に同様の勧告を行っており、今回はNHTSAに対し、スピード関連の事故防止につながる自動速度制御装置(ISA)についてもメーカーや消費者に採用を促すよう求めている。
ISAは、ドライバーがスピードを出し過ぎると視覚や音声で警告を出すシステムから、車の速度を電子的に制御するシステムまで多岐にわたる。NTSBの勧告には、採用すべきシステムに関する具体的な内容は盛り込まれていない。
NTSBによると、今回の勧告のきっかけとなったのは、昨年1月1日にカリフォルニア州で子ども7人を含む9人が死亡した事故だった。調査の結果、事故を起こしたSUV(スポーツ用多目的車)のドライバーはひどく酒に酔った状態でスピードを出し過ぎていたことが分かった。
NTSBのジェニファー・ホメンディ委員長は20日、飲酒運転防止技術やスピード関連技術の搭載について、「我々が米国で目の当たりにしている年に何万人もの飲酒運転やスピード関連の事故による死亡を防止できる」と語った。
NHTSAによると、アルコール関連の衝突事故による死者は1日平均で32人、年間平均では1万1000人を超えている。2021年の死者は5%増加した。
規制の進捗(しんちょく)状況について米高速道路交通安全局(NHTSA)にコメントを求めたが、返答はなかった。