米寒波で旅のトラブル続発 観光客が立ち往生、突然の欠航も
(CNN) 先週末にかけて米国を襲った記録的な寒波と吹雪で交通機関が混乱し、各地で車の立ち往生や飛行機の欠航など、旅のトラブルが相次いだ。
クリスマス寒波をめぐるいくつかの体験談を、CNNが取材した。
韓国人ツアー客を自宅に迎え入れて交流
ニューヨーク州バファロー近郊に住むアレクサンダー・カンパーニャさんは、嵐の日に自宅でノックの音を聞いた。
隣の住人か、近くに住む義父かと思いながらドアを開けると、そこに立っていたのは韓国人10人のツアー客。ナイアガラの滝へ向かっていたバスが雪に埋もれて立ち往生してしまい、シャベルを探しているという。
これは命にかかわりかねない事態だと直感したアレクサンダーさんと妻のアンドレアさんは、嵐が過ぎるのを待ったほうがいいと伝えて、一行を家へ招き入れた。10人のうち3人は英語が話せた。
この家からナイアガラの滝までは、天気の良い日なら車で約30分。だが吹雪の中ではいつまでたってもたどり着けなかっただろうと、アレクサンダーさんは振り返る。
夫妻は一行に何か食事をと冷凍庫の中を探し、鳥肉と豚の肩肉を取り出した。メンバーの中にいた料理の名人が、絶品の韓国料理を喜んでつくってくれた。
アンドレアさんはCNNに、この一行と今後も必ず連絡を取り合うつもりだと話した。いつか訪ねてほしいという招待の言葉に応じる日が来るかもしれない。家族のような絆ができたと感じている。
観光バスが立ち往生、徒歩で避難所へ
ナイアガラの滝から約18キロのニューヨーク州ノーストナワンダでは24日、雪の中で立ち往生した車を救助していた警官2人が、大型の観光バスを発見した。
バスは約60人を乗せて首都ワシントンへ向かっていたが、道路を外れて側溝から数十センチの位置に止まっていた。
スリップや横転の恐れがあるため、警官らが乗客を数人ずつ小型トラックに乗せて、暖を取れる近くの避難所へ運び始めた。ところが吹雪はますますひどくなり、トラックが何度も雪にはまって動けなくなった。
乗客らは結局、ひざまで雪に埋もれながら、バスから避難所まで約1.6キロの道のりを歩いて移動した。
一夜明けた25日には、警察特殊部隊のバスとスクールバスでナイアガラの滝に近いホテルへ移動し、ワシントンに向けて出発できるまでの間、待機することになった。
初対面の4人で20時間の長距離ドライブ
フロリダ州タンパの空港では22日、オハイオ州クリーブランド行きの便が突然欠航となり、見知らぬ者同士だった帰省客の男女4人が途方に暮れていた。
その場でどうしたものかと話し合ううちに、1人が「一緒にレンタカーで向かうのはどうだろう」と提案。全員がすぐに賛成し、車に荷物を積み込んで出発した。
土壇場で判断した結果、道路は空いていた。20時間に及んだ帰省ドライブの様子を、メンバーの1人が動画共有アプリ「TikTok」(ティックトック)に投稿した。
車窓からの雪景色や食事に寄った場所、危険な道路状況などを撮った動画は、第1弾で再生数が1000万回に迫った。
もう1人のメンバーはCNNとのインタビューで、雪の多いオハイオ州出身者として率直にやるしかないと思った、とコメント。「かなりひどい吹雪の中でも運転した経験はある」と話した。
家族連れの便が欠航、荷物だけはフロリダへ
パーキンスさん一家は今年のクリスマスに、フロリダ州オーランドのディズニー・ワールドとユニバーサル・スタジオを訪れる「サプライズ旅行」を計画。24日に夫婦と子どもたち6人でネバダ州ラスベガスの空港を出発することになっていた。
ところが搭乗予定のサウスウエスト航空では週末から26日にかけ、寒波の影響で全フライトの7割以上、計2900便が欠航になった。
一家の便も欠航と知らされ、がっかりして荷物を引き取りに行った。
ところが預けていた荷物は、幼い子どもたちのためのチャイルドシート2台も含めてオーランドへ発送されてしまい、返却を求めても間に合わないと告げられた。
幸い予備のチャイルドシートがあったので、一家はあきらめて帰途に就いた。
サウスウエスト航空には10時間近く待たされた末にようやく電話が通じ、チケット代の返金と預け荷物の受け取り手続きを済ませた。
荷物はラスベガス空港にあると連絡が来たが、まだ手元に戻っていない。中にはクリスマスのプレゼントも入っているという。