海水温がカ氏100度超 サンゴ礁が大規模白化、救出急ぐ 米フロリダ州
この現象についてフロリダ水族館のケリ・オニール氏は「熱帯雨林の樹木が全て枯れてしまうに等しい」と解説する。「熱帯雨林に依存する動物はみんな、生きるためにどこへ行くのか。これは熱帯雨林の樹木消滅の海底バージョンだ。サンゴは基本的に同じ役割を果たしている」
フロリダキーズ国立海洋保護区を管理している米海洋大気局(NOAA)のアンドルー・イバーラ氏は、カヤックに乗ってイスラモラーダ島沖にあるサンゴ礁「チーカロックス」の調査に出かけ、同サンゴ礁全体が白化しているのを発見した。
「サンゴのコロニーが一つ残らず色あせて、部分的な白化や完全な白化が起きていた。死んだばかりのサンゴもあった」
そう語るイバーラ氏が撮影した写真と動画にうつっていたのは、色も命も奪われたサンゴの墓場だった。
フロリダキーズのイスラモラーダ島沖で発見された白化したサンゴ/Courtesy Andrew Ibarra
NOAAのケイティ・レスネスキ氏は、ほかにも「致死率が非常に高い」サンゴ礁を2つ発見したと話す。一方で、24日に行った深い場所のサンゴ礁の潜水調査では、水温がやや低いことから、白化し始めているサンゴは5%のみだった。
ただ、そうしたサンゴも海水温が下がらなければ白化して死滅する可能性がある。過去にフロリダ州周辺で起きたサンゴの大規模な白化現象が始まったのは、今回よりも数週間先の、海水温が最も高くなる時期だった。
サンゴ礁再生の専門家は今、遺伝的に重要な種を養殖場から抜き取り、極端な猛暑をしのぐために陸上の施設へ移す作業を続けている。
「科学者たちは大急ぎで今生きているものを存続させようとしている。現時点で最善の解決策として、できるだけたくさんのサンゴを海から取り除かなければならないなんて、どうかしている」とオニール氏は言う。
救出された何千ものサンゴは、フロリダ海洋学研究所などの施設で温度管理の行き届いた水槽の中に並べられる。同施設は既に1500以上のサンゴを引き取っており、大規模救出作戦が進めばその数は5000に増えると予想している。