ウクライナが重視するクリミア攻撃、米政権内では懐疑的な見方も
ウクライナの立場からすればクリミア攻撃は反攻の不可欠な一部であり、クリミアの孤立化を図り、ウクライナ本土におけるロシアの軍事作戦維持をより困難にさせる狙いがあると、戦略に詳しいウクライナの情報筋は語る。
欧米の情報当局者によると、全体的に見れば、南部での攻撃はロシアの補給や兵站の動きを遅らせることに成功しているという。別の米当局者は、最終的にウクライナがロシアの長大な防衛線を突破した場合、クリミアの弾薬庫や補給線を狙う攻撃が反攻にとって有効になるとの見通しを示した。
ただ、欧米の複数の当局者は、クリミアが重視されるようになったのは比較的最近のため、ロシアの耐久能力にどれほど影響が出ているのかは判断しにくいとの見方を示す。
現状では、クリミア攻撃が大きな効果を上げているようには見えないとの指摘もある。10週間の戦闘でウクライナはロシアの防衛戦を突破できていないが、これについて一部の批判的な向きからは、ウクライナがどれか一つの作戦を優先せず、多くの戦線にリソースを薄く分散させているためだとの声が出ている。
前出の国防総省高官によると、米国は今のところ、ウクライナにクリミア攻撃を控えるよう積極的に助言しているわけではない。ただ、目立った戦果がないまま反攻が長引けばその分、失敗の可能性も増すと専門家は指摘する。